photo by gettyimages(以下同)

「金正恩重体報道」は、アメリカの北朝鮮に対する警告である

報道の真偽に意味はない

なぜ不確かな情報が世界を駆け巡ったのか

4月20日(日本時間21日)、アメリカのニュースチャンネルCNNが唐突に、米政府当局者の話として、「北朝鮮の金正恩委員長が手術を受け重篤な状態にある」という情報を報道した。

 

同じころ、韓国の北朝鮮情報サイトであるデイリーNK(Daily NK)が北朝鮮内部の消息筋の話として、「金正恩委員長が12日に平安北道妙香山にある専門病院で心血管の手術を受けた」と伝えた。

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これに対して、韓国大統領府の姜珉硯(カン・ミンソク)報道官は、同日、「現在までに北の内部に特異な動向は確認されていない」との見解を示した。

また、別の大統領府高官も、記者の取材に対し「金委員長は、現在側近たちと地方に滞在しており、正常に活動しているように見られる。これは妙香山ではない」として、「朝鮮労働党、軍、内閣も非常警戒態勢などの特別な動きを見せていない」と述べた。

これらの情報については、いずれ何が本当の事実なのか判明するだろうから、あえてここで真偽の推定はしない。

このセンセーショナルなニュースについて、米政府当局者の「情報源」とデイリーNKの「内部情報筋」が同一なのか、米政府当局者が複数の「情報源」から入手したものなのか不明であるが、CNNに情報をリークした米政府当局者は、このメディアの格からしてそれなりの人物だと推察される。

それにしても、韓国の大統領府はさぞかし慌てたことだろう。自ら複数の情報組織を抱えて情報網を張り巡らせ、どこよりも(同胞である)北朝鮮の内部情報には精通しているにもかかわらず、このような報道が寝耳に水のように流れてきたのだから。

もちろん、韓国も同様の情報源から同じような内容(何らかの外科手術など)の情報は得ていたのかも知れないが、他の情報(人的情報以外)も含んだ分析から、「信頼度の低い情報」として処理していた可能性もある。

しかし、そうだとすれば、情報を共有している在韓の米(軍やその他の)情報組織もほぼ同等の評価を下したうえで本国に報告しているだろう。もし、ワシントンのいずれかの関連当局が独自に知り得た情報だとしても、(ホワイトハウスに報告するまでには)それを評価するために、他の情報組織や現地の情報とは必ず照合するはずである。

要は、なぜこのような信頼性が不確かな情報が、「米当局の高官からリークされて米国の主要メディアで報道され、このニュースが世界を駆け巡ったのか」ということである。

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