日本の女子は「3番手」好き? 大人気プリンセス本に見る海外との違い

英国作品のローカライズでわかった
飯田 一史 プロフィール

Nosy Crowの編集者が以前、「イギリスの子どもは、自分に近い王女さまを好きになることが多い」といって、赤いカーリーヘアの女の子がうれしそうに赤いカーリーヘアの王女さまの巻を持っている写真を北川氏に見せてくれたという。その様子から北川氏は、イギリスでは「自分に似ている主人公が好きに決まっているじゃない!」という前提があるのではないかと感じた。

対して、日本の読者からの手紙や編集ハガキの集計データ、聞き取り調査などからは「日本の子どもは自分に自信がないのか、自分とはちがった姿の王女さまに憧れる」「弱さや悩みを持った主人公を好むのは、自分の弱さや悩みを投影して共感したり、上の立場から応援してあげるような、心の余裕を持てるから。逆に、外見も性格も地位もパーフェクトな主人公だと、自分と比較して劣等感やあせり、嫉妬に結びつきやすいのかもしれない」といった分析が導けるという。

ローカライズに際して、当初の読みが外れた部分もあった。原書のイラストでは王女たちはふわっと膨らんだフリフリのドレスを着ておらず、現代の英国王室のようにスリムでシンプルなドレス姿で、読者も冒険ものを好んで読むような子どもたちだ。そもそも欧米ではフリフリしたドレスは幼稚と受け取られることもあり、5、6歳向けでも大人っぽくてエレガントな方が好まれるようだ。

『星のジュエル 運命のジュエル』より「お着替えタイム」
 
 

しかし、日本の子どもはボリュームのあるプリンセスラインのドレスが好き――かと思いきや、意外にも細身のマーメイドラインが好評だったうえ、ピンクや黄色のような暖色よりもラベンダーやブルーのような寒色の方が好まれたという。つまり、日本の女児も「ブリブリ、フリフリは幼稚」と考えているようだ。

「アンケートで『ドレスを何着くらい着たことがありますか?』と訊くと『10枚くらい』という子が多いんです。七五三やハロウィン、園の行事などで小さい頃から定番の膨らんだドレスは着てきたこともあって小学3~5年生の今ではそれが子どもっぽく見え、スリムラインやオフショルダー(肩見せ)、ヘソ出しなどに憧れるのかもしれません」

先ほどの話と合わせて考えると、元気な女の子や甘えん坊タイプの王女の人気が低いのも「子どもっぽく見える」からかもしれない。王女は多少大人びている憧れの存在であってほしいが、芯があって強そうだと、距離の遠い存在に感じてしまう――日本の女児の願望は、その微妙なところにあるのではないか。

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