新型コロナで拡大するテレワークで、少子化も改善される理由

通勤は機会損失です
河合 雅司 プロフィール

ダイバーシティーの重要性

「コロナ後」の少子高齢社会に向けて、企業にさらに提案したいのが、ダイバーシティー(人材の多様化)だ。少子高齢化に伴い勤労世代は激減していく。人材を確保するには、女性や高齢者をはじめ、自社で働く多彩な人材の能力を引き出していくことが不可避である。

とりわけ男性中心の企業文化を築いてきた企業では、女性や高齢社員とのコミュニケーションを進め、その知恵を共有することが企業の成長にとって極めて重要だといえよう。

 

また、取引先企業や顧客も年配者が増えていくし、外国人労働者と一緒に仕事をする機会も増えていく。否応なしに、自分とは異なる文化背景や時代背景において育ってきた人々との交流が増えていくということだ。

性別や国籍、世代を超えた社員研修や、海外留学やリカレント教育として大学などでの学び直しの機会を増やすことが大事である。学ぶ意欲のある社員の能力を伸ばしていくためにも、金銭的支援や「学ぶ時間」の確保に配慮する姿勢が企業には求められる。

フリーアドレス制オフィス

こうした研修と並んで進めたいのが、職場において強制的に職種や年次の違う社員同士を交流させる仕掛けの促進だ。例えば、「フリーアドレス制オフィス」の導入である。

フリーアドレス制とは、出社した際にオフィスの席をパソコンにてランダムに決定する仕組みである。これならば性別を超え、異なる世代の社員と隣合わせとなる。定年間際の人の悩みを若い社員が知ることにもなる。

子育て中の女性社員同士の会話の内容が年配男性社員の耳に入ることにもなるだろう。これによって、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に風穴が開くことになれば、女性のキャリアアップにもつながり、定年後の再就職の問題も改善の方向へと向かう。

「異なる属性の相手を思う気持ち」は、取引先との対応に活かされるし、新たな商品開発やマーケット開拓に結びつくかもしれない。とりわけ、高齢者向けマーケットが拡大することを考えれば、高齢者のものの考え方や価値観、しぐさを知ることの意義は大きい。

「コロナ後」の日本にも、少子高齢化や人口減少の荒波は容赦なく襲い掛かる。深い痛手を負った日本経済を立て直しもまた、人口の変化に伴う影響を織り込まなければうまくいかない。

感染の収束が見通せない今こそ、一歩先を見据えて、したたかに準備を進めておく必要がある。