新型コロナで拡大するテレワークで、少子化も改善される理由

通勤は機会損失です
河合 雅司 プロフィール

子育てしやすい環境を

話をテレワークに戻そう。テレワークによって、大都市郊外のサテライトオフィスや地方に住む人が増えれば地方創生にもつながる。働き手世代が自宅や地域にいる時間が長くなれば、家庭内や地域内のちょっとした課題に対応しやすくなる

東京など都心部のマンションの価格が再び高騰し、勤め人では手が届きづらくなってきた。それでも無理して購入しようとすれば狭い物件とならざるをえない。

 

「狭い家では子供を2人以上持てない」というカップルも多い。郊外ならば多少は広い住宅を手頃な価格で入手できる。テレワークは子供のすぐ側で働けるというだけでなく、子育てしやすい環境を手に入れられる。そうした意味において少子化対策にもつながる。

郊外の広い家で子育てを(photo by iStock)

もちろんテレワークに向かない職種もあるから、できるものだけで構わない。各企業は本当に集まらなければならない仕事を洗い出し、テレワークで済ませられるものは済ませてみてはいかがだろう。

子育て中の若い社員や、要介護者を支えながら働く社員の負担を減らすというだけで企業イメージも向上しよう。結果として優秀な人材を集めやすくなるかもしれない。

企業にもメリットがある

一方、先にも少し触れたが、テレワークで働く社員を増やすことで通勤時間を無くしたり減らしたりすることは、労働者側のみならず企業側にとってもメリットが大きい

「情報通信白書」(2017年版)は、テレワークを導入している企業と、導入していない企業の業績(売上高、経常利益)について直近3年間の比較を行っているが、経常利益が増加傾向にあった企業は「導入企業」が36.7%で、「未導入企業」の22.3%を上回った。売上高が増加傾向にあった企業もそれぞれ27.8%、24.5%であった。

「在宅勤務になるとだらけそうだ」という人もいるが、実態は逆だ。テレワークでは頼ることができる同僚が近くにいないことから、指示された仕事はすべて1人で段取りよくさばかなければならなくなる。

それは人事評価も大きく変える。職場に集まって仕事をすると、場の雰囲気を明るくするムードメーカー的な人が、成果は別として上司から高評価を受けるといったことはよくあるケースだ。

しかしながら、テレワークでは仕事の責任区分が明確になるので、年齢や性別にかかわらず実績に応じて公平に評価を受けるようになる。仕事のできる人ほどモチベーションが上がりやすくなるということだ。

「情報通信白書」が売上高よりも経常利益において効果がより顕著であったとしているのは、テレワークの導入によって労働生産性が向上し、効率的な企業活動を可能にしたことをうかがわせる。企業のアイデアと発想の切り替えでも「少子高齢社会の居心地」は大きく変わるのだ。