何かの冗談か? マスク禁止から着用、活動家を次々逮捕…衝撃の現実

香港情勢からコロナ後の世界を考える
阿古 智子 プロフィール

経済規模で世界第2位の大国になった中国が、23歳の青年にここまで躍起になって反論するのも大人気がないように感じるが、そのように言ってしまうと中国政府が感じている危機感を過小評価することになるし、黄之鋒にも失礼だろうか。

黄之鋒は「香港人権民主主義法案」に関してアメリカと折衝する際に、制裁を科すべき具体的な人物の名前まで挙げたと言われているし、デニス・ホーなど発信力のあるポップ歌手などとも連携しており、外見は素朴な青年でありながら、国際政治に鋭く切り込んでいく相当なやり手である。黄之鋒を主人公にした映画『大国に抗った少年』はネットフリックスで全世界に配信された。

中国政府は、若者の間に民主化運動への共感が広がることを極度に恐れている。新型コロナウィルス拡大でデモができない中、ゲーム好きの黄之鋒は、任天堂のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」に活動の場を見出した。

これは、のどかな南国の島に住むプレーヤーが、擬人化された動物たちの友になり、自分の島をカスタマイズしてオンライン上で互いの島を訪問するというシミュレーションゲームだが、黄之鋒はSNSで、民主主義のために闘う香港人たちが、理想の社会をゲームの中で実現できるのだと述べた。

ところが、この黄之鋒の発信の翌日には、中国の多くのオンラインショッピングのサイトなどで突如「あつまれ どうぶつの森」が買えなくなり、黄之鋒のフェイスブックのコメント欄には、中国のゲームファンたちが苦情を書き込んだ。

コロナ後の世界をどう再構築するか

新型コロナウィルスで外出規制が続き、一時、静けさを取り戻した香港だが、政府と警察は抗議者たちに圧力をかけることを忘れてはいなかった。

 

2月29日夜から3月1日、太子(プリンスエドワード)駅で、2019年8月31日の警察の無差別暴行に対する抗議デモから半年になるのに合わせ、久しぶりに抗議活動が行われた。

8月31日には、太子駅では特殊戦術部隊の隊員らが、地下鉄の車両までデモ参加者を追いかけて催涙スプレーを噴射し、無抵抗の人たちを警棒で次々と殴打している。

「831」の記憶を風化させてはならないと多くの人が太子駅に集まったのだが、その一部は、取り締まろうとする警察に火炎瓶やれんがを投げたため、警察は催涙ガスで応戦し、15〜54歳の115人を逮捕した。