何かの冗談か? マスク禁止から着用、活動家を次々逮捕…衝撃の現実

香港情勢からコロナ後の世界を考える
阿古 智子 プロフィール

顔認証システムが発達し、監視カメラが街の至る所に設置されるようになった現在、自分の写真や映像は、自分が知らないところで記録され、蓄積されているかもしれない。

覆面禁止法はデモの過激化を防ぐためだと主張する者もいるが、この法の存在は無言の圧力となり、表現の自由や集会結社の自由を制限していくだろう。つまり、顔を隠さずにデモに参加すれば、将来自分や家族に不利益が生じると不安に感じる人が少なくない。

そもそも、逃亡犯条例の改正に反対の声が高まったのは、この改正案が通れば、中国当局が容疑者とする者の中国への引き渡しを要求できるようになるからである。そうなると、香港で中国政府に批判的な発言をするとか、平和的なデモ活動に参加するだけでも、中国では有罪とされるかもしれない。

政府に頼らずマスクを調達

新型コロナウィルスに関して、既に多くのメディアが報じているように、中国の医師たちは1月初めには、原因不明の肺炎で死者が急増していると発信していた。

彼らの警告が、すぐに中国全土に、そして世界各国に伝わっていたら、どれだけの人数の感染者の命が救われただろうか。

早くから、国を越えて積極的に情報を公開・共有し、各種の対策について謙虚に助言を求め合い、迅速に専門家同士が連携を進めていれば、もっと効率的に感染の拡大を抑え込めたはずだ。

香港政府は、1月25日には公衆衛生上の緊急事態を宣言し、幼稚園から大学までの休校措置、公務員の在宅勤務、テーマパークなどの大規模施設の閉鎖などの措置をいち早く講じた。

2002〜2003年のSARSで、広東省や香港を中心に8000人以上の感染者、700人以上の死者を出した時の教訓を生かした徹底的な策を取ったと言える。

 

しかし、香港政府は中国本土との出入境検査場を開けたままにしたため、医療従事者は中国本土と香港の境界を完全に封鎖すべきだとして、2月3日から5日間ストライキを実施した。

香港政府は2月4日に、香港国際空港、深圳湾口岸、港珠澳大橋以外の検査場を閉鎖したが、中国の人々が帰省や旅行で移動する春節(旧正月)に重なる時期に、感染者が急増していた中国との境界を閉じていなかったのは問題だと批判を浴びた。