〔PHOTO〕gettyimages

何かの冗談か? マスク禁止から着用、活動家を次々逮捕…衝撃の現実

香港情勢からコロナ後の世界を考える

1月中旬頃まで、香港で「マスク」といえば、反政府デモに参加する時の必須アイテムだった。香港政府はデモを抑制しようと、緊急状況規則条例を発動し、マスクの着用を禁止しようとした。

しかし、新型コロナウィルスの感染が広がると、香港政府は全ての市民にマスクを着用するよう呼びかけた。いったいこれは、なんの笑い話かと思わされるが、デモも、マスクも、新型コロナウィルスも、それらに関連するさまざまな衝突や事件、逮捕劇も、「これは冗談か」と思わされるようなことが最近、山積みだ。

民主主義国家において、あるいは法の支配を重んじるシステムにおいて、あってはならないようなことが当然のように行われている。

〔PHOTO〕gettyimages

「覆面禁止法」はどうなったのか

香港政府は、2019年10月5日、デモ参加者のマスク着用を禁止する「覆面禁止法」を出した。新型コロナウィルスの感染が拡大すると一転し、全員にマスクを着用するように呼びかけた。

覆面禁止法は、議会の審議を経ずに設けられる「緊急状況規則条例」の発動によって提出された。

緊急状況規則条例は英国の植民地時代の1922年に制定され、最後に発動されたのは1967年。中国における文化大革命の影響で、香港で左翼勢力の暴動が起きた時だ。

爆弾テロが起き、一般市民を含む多くの犠牲者が出るほど深刻な事態に陥り、夜間外出禁止令が出された。それから一度も出されていないこの超法規的措置を、デモを抑止するために使おうとした。

ただ、2019年11月10日、香港高等法院(高裁)は香港基本法に違反しているとして、それまで暫定的に認めていた覆面禁止法を無効とする判断を下し、同月18日、同法は効力を失った。香港基本法は憲法に等しい法律である。香港基本法に違反しているというのは、すなわち、違憲判決が下されたということになる。

しかし、香港政府は高裁判断を不服として11月25日に上訴した。上訴法廷は12月10日、政府の仮処分の要求を拒否する判断を示し、覆面禁止法は再び効力を失った。

だが、2020年4月9日に行われた上訴法廷では、緊急状況規則条例は「公共の安全に危害を与える状況下では認められる」として、一部合憲の判決が下された。

 

11月の一審判決は、覆面禁止法は「合理的必要性を超えている」と判断していたが、上訴法定は、政府の許可を得た合法的な集会・デモでのマスク着用を禁止するのは違憲で、不法集会・デモで禁止するのは合憲との見解を示したのである。最終的な判断は、終審法院(最高裁)に持ち越された。