コロナ危機で露呈…日本政治は「家族」への想像力が貧しすぎる

世帯主への給付なんてありえない
森山 至貴 プロフィール

世帯主は圧倒的に男性が多い現在、「妻や子どもの所有物は夫の所有物」といわんばかりの、イエ制度も真っ青の制度が運用されようとしていること自体驚愕であるが、現政権がこれまでどのように家族を捉えてきたかという点から考えれば、残念ながらそのきわめて保守的な家族観の延長線上にあるからこそ、このようなかたちの制度になったことは明らかであろう。

とはいえ、政権の家族観が今困っている人を十分に支えることより優先されてよいはずがない。制度が滑り出す際には、より平等で有効なものへと練り上げられていることを強く願わずにはいられない。

こうした給付の方法を見ていると、現在の政治にとって、家族とは、当然のようにお互いを助け合うような存在であるとイメージされているのかもしれない。しかし、実態がその通りであるとはもちろんかぎらない。

先ほどDVの可能性について取りあげたが、実はこれは可能性ではなく、現実の問題である。外出自粛の影響でDV被害の相談が増加しており、対策として内閣府がDV相談+(プラス)という窓口を4月20日に立ち上げた。「ともに一つの住居に暮らす」ことは、つねに安全を意味するとはかぎらない。

〔PHOTO〕iStock
 

家族が負わされているもの

また、家族関係が良好なものであったとしても、新型コロナウィルスへの対抗の拠点として盤石であるとは決して言えない。なぜなら、平時において家族が負わされてきた負担の過重さが、今回の危機を契機にしても具体的な問題を引き起こしているからだ。