私たちが「接触8割減」「三密回避」できないシンプルな理由

効果的な「行動変容テクニック」とは?
原田 隆之 プロフィール

5 人との接触を8割減らそう

これが、現時点では最も重要であるが、最も実践が難しい行動変容である。特に働く世代にとっては、自分一人の意識では行動変容ができない。さらに、これからの大型連休にも課題となる。さらに、緊急事態宣言が長引いたり、今後繰り返し出されたりすることも予想され、その場合にはますます実践が困難になる。

まず、8割という行動目標は数字を伴っている点は具体的かもしれないが、「行動心理学の言葉」になっていないのが気になる点である。

何をどう行動すれば8割削減になるのかということが、われわれにはわからない。元の10割をほとんどの人が意識していないからだ。めいめいが目安で行動しているから、実際は6割程度で終わっていたりする。

また、ターミナル駅には行かない代わりに、近所のスーパーや商店街には抵抗感なく出かけるし、「自分一人くらいは大丈夫だろう」という意識でいれば、結局は8割減にはならないのである。

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4月22日に専門家会議から、新たに「10のポイント」が提案された。これはかなりの前進で、8割削減が行動の言葉で提示されていてわかりやすさがアップしている。

したがって、今後も必要ならばもっと具体的かつシンプルなメッセージを工夫する必要があるだろう。

さらには、個人向けのメッセージでは限界があるので、企業に対して社員の2割以下が出勤するようにシフトを組んでもらうように具体的に依頼すべきかもしれない。また、買い物については、海外のように店舗に入る人数を制限する必要が出てくる場合もあるだろう。

 

ショッピングモールやデパート、観光施設、バーや劇場などを閉鎖するのは、外出に伴う望ましい「結果」を物理的に遮断するという方法であり、行動心理学のルールに適っている。しかし、これが長期化すると、経済的な打撃が大きくなることは言うまでもないので、長く使うには適していないといえる。