私たちが「接触8割減」「三密回避」できないシンプルな理由

効果的な「行動変容テクニック」とは?
原田 隆之 プロフィール

行動心理学では、われわれの行動を以下のような要素に分析して考える。これを行動分析という。

先行刺激 → 行動 → 結果

われわれの行動には、すべてこの3つの要素が連鎖して生じている。これを専門用語で「三項随伴性(さんこうずいはんせい)」と呼んでいる。

まず、何らかの「先行刺激」によってスイッチが押され(多くは無意識的に)、「行動」が開始され、そのあとには何らかの「結果」が伴う。行動には、これだけのシンプルなルールがある。たとえば、ランチを食べるという行動を例に取ると以下のようになる。

12時のベルが鳴る
歩いていてレストランを目にする
空腹感を抱く

ランチを食べる  

上の2つは外部刺激であり、3つ目は内部感覚からによる刺激であるが、いずれもこれらの刺激が単独で、あるいは合わさって、ランチを食べるという行動のスイッチを押し、その後に行動が開始される。このように、普段は意識しなくても、われわれの行動は刺激によって開始されているので、これを「刺激による支配」と呼んでいる。

次に、何かの行動を取ったら、その後には必ず「結果」が伴う。

この際に重要な点は、望ましい結果であれば、その前の行動の頻度が上がるというシンプルなルールがある。逆に望ましくない結果であれば、頻度は下がる。結果によって行動が左右されるので、これを「結果による支配」と呼び、前者を「強化」、後者を「弱化」という。

 

先の例に戻れば、そのレストランのサービスが良く、食事もおいしくてリーズナブルな値段であったとすれば、これは「ランチを食べる」という行動の後、良い結果が生じたことになる。すると、またそのレストランで食事をする行動が増えるだろう。これは「強化」の例であり、結果が望ましければ行動の頻度が増すという例である。

逆に、サービスが悪かったり、出された食事がまずかったり、値段がびっくりするくらい高かったりすると、もう二度とそこでは食事しないだろう。これは「弱化」の例であり、結果が望ましくない場合は、行動の頻度が減るのである。

行動変容を促すときは、このように行動分析をしながら、これらの行動心理学的なルールを応用すればよい。