〔PHOTO〕gettyimages

私たちが「接触8割減」「三密回避」できないシンプルな理由

効果的な「行動変容テクニック」とは?

行動変容とは

感染の拡大している都市部のみならず、全国に緊急事態宣言が出され、新型コロナウイルス感染症は、すべての日本人にとってもはや「よその問題」ではなくなってきている。これ以上感染を拡大させないために、一人ひとりが自覚をもって責任ある行動を取ることが鍵になる。

専門家会議のメンバーをはじめ、感染症の専門家は、「行動変容」という言葉をたびたび強調している。しかし、少々堅苦しくなじみのない言葉を聞いて、難しいなと感じた人は少なくないだろう。

私の専門は臨床心理学であるが、臨床心理学は、行動心理学などの知見を用いて、人々の行動変容をサポートすることがまさにその仕事である。たとえば、アルコールやギャンブルがやめられない依存症の人々に対して、「強い意志でやめろ」「我慢しろ」と言っても無駄である。そこで、心理学的なテクニックを用いて、アルコールやギャンブルをやめるという「行動変容」を促すのである。

今、われわれに問われているのは、感染リスクの高い行動から、リスクの低い行動へと「行動変容」をすることである。これに関しても、「感染しないという自覚をもって行動を変えよう」「我慢しよう」と言っても、なかなか難しいのが現実である。しかし、ちょっとした心理学のテクニックを用いれば、意志の力に頼るよりははるかに簡単かつ効果的に行動変容を成し遂げることができる。

〔PHOTO〕gettyimages

専門家会議からのメッセージ

感染症の専門家からは、感染のリスクを減らすためにたくさんの有意義なメッセージが出されている。代表的なのは以下のようなものである。

1 十分な手洗いをしよう
2 ドアノブやスイッチなどに触れたあとは、手で顔をさわらないようにしよう
3 咳エチケットを実践しよう
4 三密を回避しよう
5 人との接触を8割減らそう
 

これ以上感染を拡大させないためには、どれも重要なものであることは間違いないが、そのなかには実践が難しいものも少なくはない。

では、どのような工夫をすれば、より効果的にこれらの行動を実践できるようになるだろうか。このあと、心理学の具体的テクニックを用いて1つずつ検証するが、その前に行動心理学の基礎的な原則を説明したい。