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コロナで注目の「セックス・ワーカー差別」、フェミニズムとの複雑な関係

差別を固定化させないために

浮き彫りになった差別意識

実はもともとこの記事はセックス・ワーカーとフェミニズムの複雑な関係について、新型コロナウィルスが問題になる前に書いていた。

そんな折、ウィルスが流行し、日本でも問題となるなかで、コロナに関係する支援金制度における風俗関係者への差別的扱いが明るみに出て、大きく批判される事態となった。幼稚園や小学校等の臨時休園・休校で仕事を休まざるをえなくなった保護者向けにつくられた支援金制度において、「接待を伴う飲食業」や「風俗業」が除外されていたのである。

これは、支援団体(SWASH)をはじめ、各所から反対の声が上がり、政府は見直しを余儀なくされた(4月6日)。

解消されたとはいえ、どうしてこのような排除が起きたのだろうか。風俗関係者であろうと、子どもがいる場合も多いし、休校になれば仕事に行けず生活が逼迫することがあるのも他の職業と一緒である。にもかかわらず、「不支給要件」にそれらの職種が明示されるという排除の裏には、社会のセックス・ワーカーへの根強い差別がある。

この記事では、とくにフェミニズムの立場とセックス・ワーカーとの関係性およびそこから見える世界的な動きについて考えていく。

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フェミニズムも一枚岩ではない

最近、フェミニズムについて書かれた読み物が増えていることは多くの人が感じているところだろう(このコロナの問題でフェミニズムブームも一気に飛んだ感があるが)。だが一方で、フェミニズムをもう少し立体的に捉えたほうが面白いのになと、物足りなく思うことも少なくない。

というのは、何かのテーマについて、「フェミニズムは〇〇」「フェミニストは〇〇」という語りが散見されるのだが、実はフェミニズムは、そんなふうに整理できるほど単純なものではないからだ。