コロナウイルスのパンデミックで緊急事態宣言が発令されて、生活必需以外の大半の店舗が休業する中、アパレル企業の売上は激減して大量の春夏商品が行き場を失い、業界は存亡の危機に直面している。
秋冬の企画も生産仕込みも進まず、商売にならなかった春夏に続き、秋冬も病み上がりの継ぎ足しリサイクルになりそうだ。
緊急事態宣言発令以前の3月でも、週末休業や人出の減少で主要百貨店の売上は32〜43%も減少し、外国人観光客売上は9割以上が消えて、三越の銀座店は55%、大丸の心斎橋店は63%も売上が急落。
主要な駅ビルやファッションビルも売上が30〜48%減少し、大手アパレルの店舗売上は40〜54%、主要アパレルチェーンの売上も2割から4割強も落ち込む中、売上が急増したのがECで、EC比率の高い企業ほど店舗売上の落ち込みを補った。
オンワードの3月はECが45%も伸びて全社売上の落ち込みを31%にとどめ、三陽商会も百貨店売上が51%も落ち込んでもECが15%伸びて全社売上の減少を44%に抑えたが、レナウンは百貨店が54%も落ち込む中、ECが38%近く伸びても全社売上は46.5%減少した。
オンワードは全社売上に占めるEC比率が19年下期(9〜2月)で17.5%、三陽商会も19年1〜2月で15.8%に達しているが、レナウンは前期で3.2%に過ぎず、ECを伸ばしても焼け石に水だった。