5月 2日 国際移植学会が「イスタンブール宣言」採択(2008年)

科学 今日はこんな日

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2008年の今日、国際移植学会(The Transplantation Society:TTS)によって、不正な手段による臓器の入手を禁じる「イスタンブール宣言」が採択されました。

イスタンブール宣言の成立の背景には、各国の深刻な臓器不足があります。臓器移植の研究は1950年代から活発になり、1954年には世界ではじめて腎移植が成功します。さらに、1967年には南アフリカの医師クリスチャン・バーナード(Christian Barnard、1922-2001)が心臓移植を成功させました。

クリスチャン・バーナード Photo by Getty Images

1980年代には、臓器の拒絶反応を抑えるシクロスポリンが開発されて世界中で移植が可能になり、現在は心臓移植だけでも5000例以上が施行されています。しかし、臓器移植には莫大な費用がかかる上、臓器提供者(ドナー)も不足しているのが現状です。

臓器移植手術のイメージ Photo by iStock

こうした状況を改善するため、2008年にTTSと国際腎臓学会(International Society of Nephrology:ISN)によってトルコのイスタンブールでサミットが開かれました。そこで、前年からの協議や多くの有識者からの意見によって完成したイスタンブール宣言が発表され、採択されるに至ったのです。

イスタンブール宣言は、序文においてドナーと移植患者(レシピエント)、およびその候補者や予定者の健康が、術後も損なわれない状態を臓器移植の成功としています。また、暴力や脅迫、詐欺などの犯罪によって臓器を手に入れることを臓器取引、臓器を商品として取り扱うことを臓器商業主義と定義しました。

 

そして、移植のために外国に移動する際、臓器取引や臓器商業主義に該当したり、その国の移植患者の医療機会を減らすような場合を「移植ツーリズム」と定めました。イスタンブール宣言は臓器売買に加え移植ツーリズムの禁止もうたい、そのために各国に臓器が確保できるような制度の整備や基礎研究の推進を要求しました。

この宣言を受けて、日本では翌年に臓器移植法が改正されました。この法律は、脳死を人の死と定めています。そして、脳死した本人が生前に書面で拒否の意思表示をしていない場合、年齢にかかわらず親族の同意によって臓器提供が可能になりました。

なお、イスタンブール宣言とその和訳の2018年版はこちらからご覧になれます。