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コロナ禍で子どもを預かってもらえない…非正規シングルマザーの苦悩

神戸市小学校で起きた混乱と神対応

コロナ禍の「禍」を、時に、「渦」と読み違えることがある。今回のコロナ禍でも、その混乱の渦に巻き込まれるのは、いつでも、どこでも弱者であることは変わりないようだ。

「招かれざる児童」という現実

「できるだけ受け入れるなと上から言われております。今後は、余程の事情がない限り、来ないで頂きたい――」

今月4月16日、国による新型コロナウイルス感染拡大防止の緊急事態宣言で、最初に対象地域に指定された兵庫県神戸市に住むチエさん(仮名・38歳)は、子どもが通う公立小学校に、日中、子どもを預かってもらう「特別受け入れ」を申し出た。

朝8時30分から昼の12時までの3時間半、子どもを小学校で預かってもらい、迎えに行った際、その小学校の教頭から言われたのが、この言葉だった。子どもは辛そうに下を向いていた。そのまま無言で担任からチエさんに引き渡された。

この緊急事態宣言が発出された状況下、学校にとって、「特別受け入れ」で児童を預かることは、「招かれざる児童」であり、保護者であることを、あらためて思い知らされた瞬間だった。

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緊急事態宣言発出以降、学校側は保護者に、「何かあれば、いつでも遠慮なく申し出て下さい」とアナウンスし、特別受け入れによる児童の受け入れを行うとしていた。だが実際には、ほとんど児童を受け入れることなかったようだ。この日、小学校が預かった児童はチエさんの子どものみだったという。

シングルマザーで、非正規雇用のチエさんにとって、行政は、最後の頼みの綱だ。今回のコロナ禍に、国民一丸となって耐え偲ばなければならないことはわかっている。だが、正規雇用の職に就いているならいざしらず、非正規雇用の身だ。雇用主側から休業を申し渡されれば、それは、即、収入が途絶えることを意味する。家計が逼迫する。

 

いろいろと法律を盾に取れば、理不尽な雇止めや自宅待機にも行政や弁護士に相談すれば、これに対抗できるのかもしれない。しかし、そんなことをすれば、「ややこしい人」として、次の働き口がなくなるのが、世の中というものだ。

令和の時代といえども、非正規雇用者には、まだまだ冷たい、関西弁で「冷たいわ」というのが、偽らざるところである。