コロナで休業要請された飲食店の家賃は、免除されるのか?

弁護士の見解
前原 一輝 プロフィール
 

まず、法律用語でいう「無過失」というのは、当事者にまったく責任(帰責事由)が無いことを指します。他方、不可抗力とは一般に戦争や動乱、大災害をいうとされています。この「無過失≒不可抗力」の範囲についての詳しい規定はありませんが、ほぼ同じものとみなされています。

一方、改正民法415条1項はこの点について、「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」ということで具体化しています。

この考え方を現在の東京都における飲食店などの建物賃貸借契約の債務関係(賃料支払、使用収益等)に適用するのは、専門家にとっても異存は少ないと思います。

伝染病は果たして天災と同様なのか?(一般論)

さて、今回の緊急事態宣言の法的根拠となった新型インフルエンザ等対策特別措置法45条2項には、次のように定めています

「特定都道府県知事は(中略)当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。」 

ただし、要請や指示に背いた場合の罰則はありません。

知事から、罰則がない要請や指示を出されてそれに応じて休業した場合、それをどう解釈するかが問題となりそうです。

現行の民法の解釈から考えると、都道府県知事による要請や指示に従ってお店を休業することを、借り手側の責任(帰責事由)にするのは酷ではないかと思います。したがって、指示や要請があった場合は「借り手側に責任がない無い(無過失≒不可抗力)」と判断するべきではないでしょうか。

しかし、指示や要請が無く休業した場合はどう考えるべきでしょうか。この場合には、借り手の経営判断によって建物を使用しないだけなので、責任がないとは言えない可能性があります。

また、店内から感染者が出た場合はどうなるでしょう。建物内に、借り手とは無関係のコロナウイルス感染者が立ち入り、その後、新型コロナウイルスが蔓延した場合です。

photo by iStock

この場合はほぼ確実に、ウイルスの除去作業を行う必要性が生じます。その作業のために建物を使用できなくなった場合は、借り手側には責任(帰責性)が無いとされる可能性が高いと考えます。

知事から要請・指示があった場合等は賃料免除が可能

以上から、現在の東京都のように都道府県知事の要請・指示がある場合あるいは借り手(賃借人)とは無関係の者が建物内にコロナウイルスを持ち込んで蔓延した場合には、借り手側の賃料支払義務が免除される可能性があると考えます