コロナで休業要請された飲食店の家賃は、免除されるのか?

弁護士の見解
前原 一輝 プロフィール
 

どんな場合に賃料を免除&減額できるか? 

天災などで、建物で営業ができなくなった場合、賃料を全額支払わないのではなく、一部減額するという場合もあります

具体的には、旧民法611条1項には「賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる」ことが定められています。

わかりやすく言うと、借り手は「壊れた部分の賃料は払いません」ということになります。同じ建物の中で3ユニットを借りていて、そのうち1ユニットが使えなくなったような場合、「その部分の賃料は払いません」とできるのです。

また、借地借家法という法律の32条では、借りている建物や土地などの資産価値が著しく変化した場合、借り手とオーナーのどちらからでも賃料の変更を求めることができる、と定めています。

これは契約締結時にはなかった何かの変化が起こり、その建物の持つ資産価値が大きく変化した時には賃料の変更を求めることができる、ということです。

photo by iStock

新型コロナウイルスの蔓延で、東京都では今後1ヵ月以上飲食店の営業はかなり困難となりました。これが長期化すれば、飲食店をテナントとする建物の資産価値も変化します。そうした場合に、テナント側から賃料の減額を求める行為は、この条文に当てはまる可能性があります

建物の賃料減額や変更に関する規定は上記の2つになります。

コロナ禍は「無過失≒不可抗力」か?

さらに法律的な背景を考えていきましょう。

まず、緊急事態宣言や新型コロナウイルスの蔓延によって、借りた建物で営業(使用収益)ができなくなった場合という事態は、建物の「滅失」ではありません

また、直接的には経済事情の変動でもありません。ただし、前述のようにこの状態が長期化すれば、今後は建物の資産価値自体に大きな変化が起こる可能性はあります。

さらに、このような状態はオーナー側(賃貸人)に責任(帰責事由)がある場合にも当たりません。したがって、今の状態が法解釈上でのオーナー側の「無過失≒不可抗力」に相当するのかどうかが問題になります。