コロナで休業要請された飲食店の家賃は、免除されるのか?

弁護士の見解
前原 一輝 プロフィール
 

賃料の支払い義務がなくなる場合とは?

まず、民法における基本的な考え方から説明します。

建物や住戸などの賃貸借契約が締結された場合、オーナー(賃貸人)は借り手(賃借人)にその建物で営業や居住(使用収益)ができる状態を維持する義務が発生します。つまり、電気ガス水道などの基本的なインフラを整備し、雨漏りや水漏れがなく、空調などの設備がキチンと稼働できている状態を整えるのは、オーナー側の責務なのです。

逆に借り手は、オーナーに対して毎月の賃料を支払う義務が生まれます。建物の賃貸借契約とは、このオーナーと借り手の双方の義務を約束するものです。飲食店などの借り手が賃料の支払い義務を免れるとすれば、それは何かの理由でお店を営業(使用収益)できなくなるような場合となります

法律上はその「お店が営業できなくなる理由」を、オーナー側に責任(帰責事由)がある場合と、ない場合に分けて考えます。

オーナー側に責任がある場合とはどのような場合でしょうか。たとえば、建物の一部が壊れたのにオーナーが適切な修繕をしなかったために、お店の営業ができなくなった場合などがそれに当てはまります。

photo by iStock

この場合、借り手側は営業ができなくなったことによる損害賠償の請求などをオーナー側に求めることができます。さらに賃貸借契約を解除することによって、賃料の支払いを拒むこともできます。

しかし、オーナー側に責任が無い場合はどうなるでしょう。たとえば、大地震や水害によって建物が完全の壊れていなくても、大きな被害を受けてテナントの店舗が営業できなくなった場合には、危険負担という制度により、賃料支払義務が免除されます。

ここで問題なのは、今回のような新型コロナウイルスの蔓延によって出された政府の緊急事態宣言と都知事による休業の要請が、大地震や大水害と同様のものとみなせるか、ということです。

実は、民法などではハッキリとした条文で示されていません。また、これまで例のないことなので、過去に参考にできるケースもありません。あとは、適用できる法律をどう解釈するか、ということになります。