作家で獣医師の片川優子さんによる連載「ペットと生きるために大切なこと」。今回は全国での緊急事態宣言を受け、外出自粛要請がある中で動物病院に連れて行っていいのか悪いのか。毎月最終月曜日公開の連載を早めて取り急ぎ具体的に伝えてもらう。

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ペットにとっての「不要不急の外出」は?

新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない。4月7日には、7都府県に政府から緊急事態宣言が出され、16日にはそれを全国に拡大すると発表された。日本中の人たちに「不要不急の外出自粛」が要請されている。

そんなかつてない非常事態で、ペットオーナーの中には、どんなときに動物病院へ行けばいいのか、迷っている方もいるかもしれない。ペットの体調が悪くなったならいざ知らず、それ以外、つまり病気以外のワクチン接種やフィラリア予防薬の処方は、果たして「不要不急の外出」に当てはまるのだろうか。

今回のコラムでは、どんなときに動物病院に行くべきか、また行くときにはどんなことに気をつければいいかを取り上げたい。

ロックダウン中のパリでは、外出がかなり禁じられている。ペットの散歩は数少ない「許された外出」だ  Photo by Getty Images

犬の狂犬病ワクチンは
慌てて打つ必要はない

4月になり、犬を飼っている方で、真っ先に思い浮かぶのは、狂犬病ワクチンではないだろうか。
犬を飼ったことがない方には馴染みがないかもしれないが、犬の飼い主は、狂犬病予防法により、毎年飼い犬に狂犬病ワクチンを接種することが義務付けられている。また、狂犬病予防法第11条には、「狂犬病の予防注射を4月1日から6月30日までの間に1回受けさせなければならない」と接種の時期が明記されている。
したがって今までは、春になると各地で集合注射が行われ、動物病院もワクチンを打ちに来たオーナーと犬で混み合っていた。

しかし今年は少し事情が違う。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、集合注射を中止にしている自治体も多い。集合注射に行くつもりだった方は、事前に自治体に問い合わせるか、ホームページなどで開催の有無を確認した方が良いだろう。

また、集合注射がなくなったからといって、慌てて動物病院に行こうとした人は、少し待って欲しい。狂犬病ワクチンは、6月末までに打てば良いのだから、すぐに動物病院に行く必要はない

現在日本国内において、犬と人を含めて狂犬病の発生はなく、日本は世界でも数少ない「狂犬病のない」清浄国とされている。新型コロナウイルス感染症が猛威をふるう今、病院や集合注射場所で順番待ちをしてまで打つ必要はないと言えるだろう。

また、熊本地震があった際は、この期間が延長された。簡単に言うと、「事情があるなら7月以降に打ってもいいですよ」という特例が許されたのだ。今回も延長される可能性が高いので、しばらく様子を見ても良いだろう。狂犬病ワクチンは、動物病院に行けば7月以降でも接種が可能である。

ただし、だからと言ってワクチンを打たなくていいわけではない。狂犬病がひとたび日本に持ち込まれ、狂犬病にかかった犬に噛まれた人が狂犬病を発症すると、致死率は100%なので、落ち着いた頃に忘れずにワクチンを打ってほしい。