胎内感染はあるのか

東京都では、おもだった周産期医療施設が次々に陽性妊婦の受け入れをホームページでも公表し始めている。東大病院は10日、ホームページに「当院は、新型コロナウイルス感染の妊婦の方々も分娩ができるように、感染対策を施し対応する準備をしています」と明記した。疑いのある人にも対応することや、帝王切開のことも記されている。

関沢さんが診療科長を務める昭和大学病院も同様で、感染対策を十分に講じたうえで分娩に対応することをホームページに記している。

陽性妊婦の入院は、産科の産科医や助産師だけではなく、多くの人の協力がなければできない。もし入院中に出産になれば、与田さんのような新生児科医も出番となるかもしれない。与田さんは言う。

「新型コロナウイルスに感染した方の赤ちゃんは、胎内感染は今のところないか稀とされていますけれど、出産時、出産後に感染する可能性は少しあります。赤ちゃんはお母さんとは離し、PCR検査を受け、陽性となったら、新生児科が治療に当たります」

さらに、お産というものは、新型コロナウイルス感染症の有無にかかわらず、早産もあるし、赤ちゃんが10人生まれれば1人はNICU(新生児集中治療室)に入室する。
「陽性妊婦が出産した赤ちゃんが、もしNICUでの治療を要したら、新型コロナウイルス感染はないとPCR検査ではっきりするまで厳重に隔離し、すべてを他の赤ちゃんと別にするので場所や人員を必要とします」

感染症の治療にあたる内科部門にも協力をしてもらう必要がある。妊婦であっても、入院する病棟は内科部門が管理する感染病棟だ。
「ベッド数に余裕がないこの部門にも何とか協力してもらえるように、東京都は配慮しました。特定機能病院管理者宛てに一般感染者の受け入れ病棟増床を依頼する文書に、妊婦さんと新生児には『特段の配慮』をお願いするという一文が添えられたのです」(与田さん)

東邦大学医療センター大森病院総合周産期医療センターの新生児科の診療部長をつとめる与田医師。同じくzoomで取材に答えてくださった

先のことは誰にもわからない。東京都も、これで妊婦、新生児の病床数が足りるという保証はどこにもない。ただ、今、「どこの産科にも受けてもらえないような母親を一人も出さないようにしよう」と専門家や行政が時間との闘いをしていることはお伝えしたい。

まだ間に合うと信じたいし、最悪の事態を見ないまま感染拡大が収束することを祈りたい。