「めちゃくちゃ不安です。緊急事態宣言が出されても激混みの電車、駅、開いている飲食店、自分の身を守れても、家族がどうか分かりませんし、産む場所がなくなったらと思うと本当に不安です」(兵庫県24歳)

これは、ジャーナリストの河合蘭さんとニンプスラボの共同調査で行った、妊婦の方々への感染症アンケート「今、妊婦さんは何に困っている? 新型コロナウイルス感染症アンケート」に書き込まれた回答のひとつだ。わずか4日間の間に1676名の方が声を寄せてくれたという。そんな妊婦の方のに少しでも多くの情報を提供できたらと、河合さんが専門家たちに話を聞く短期集中連載「新型コロナと妊婦」第1回は、もし妊婦が新型コロナに感染したらどうなるのかについてお伝えする。

世界中に妊婦がいる。日本の産科医療の現場でも、妊婦の方々を安心させるように多くの方々が力を尽くしている。写真はロックダウンしているフランス、4月上旬の写真 Photo by Getty Images

いったいどんなお産になるの?
産む場所はあるの?

病院が閉鎖されてしまえば産む場所さえもなくなります。 そういった部分についてももっと世間に知っていただく機会を増やしてほしい」(神奈川県27歳)

政府または自治体から産婦人科、クリニック等でコロナ患者が発生した際の対応策を公表、各病院から妊婦へアナウンスしてほしい」(大阪府33歳)

病院のスタッフから、都内の病院には産婦人科学会から(?)原則帝王切開を推奨するという通知が出されたことを聞き、愕然とした」(茨城県35歳)

産む場所(通っていた病院で) ・産み方(立ち会いや無痛など) について何も心配しなくていいと言って欲しい、それだけです」(東京都30歳)

医療崩壊が起こった際に産む場所があるのか、切迫(早産)になった際に適切な治療が受けられるのか心配です」(東京都31歳)

(今、妊婦さんは何に困っている? 新型コロナウイルス感染症アンケート 筆者・ニンプスラボ共同調査 4月8日~12日 有効回答数1,676名) 

“医療崩壊”の4文字が連日報道される中、妊婦たちが不安に陥っている。それは当然だ。
産婦人科医の関沢明彦さん(昭和大学病院 産婦人科教授)は言う。
「現在、婦人科の手術は、緊急性を要するものや悪性腫瘍以外は待ってもらっています。でも、妊婦さんだけは、必ず、ある時期になったら陣痛が来て入院しなければなりません。出産だけは、延期してもらえません

冒頭に引用したアンケートでも、「かかっている施設が閉鎖されたときスムーズに転院できるか不安」に約8割(76.4%)が「とてもそう思う」と答え、「そう思う」(19.7%)合わせると、回答者全体の96.1%の妊婦が共感した。

すでに両親学級の中止は約7割、夫も含めた面会の一切禁止は約4割の人に起き、「何もかもが思い描いた出産と違ってしまうのでは」という戸惑いも広がっている。産婦人科医の学会3団体が共同で全国の会員に出したガイドラインに、もし新型コロナウイルスに感染している妊婦に出産が始まったら「帝王切開を原則とすることもやむを得ない」と書かれたことも事実。これは、自然なお産というものは長時間かかり呼気量も多いので、介助者が非常に濃厚な接触をしてしまうためだ。