コロナ禍に乗じて挑発を繰り返す、中国・北朝鮮が招く「最悪の事態」

米国はいまや「手負いの獅子」か
鈴木 衛士 プロフィール

新型コロナウイルスの拡大を阻止した北朝鮮

北朝鮮は、現在まで公式には新型コロナウイルスの感染者はゼロだと言い張っている。

発生源の中国と隣接する国家でありながら、このようなあり得ない数値を喧伝するのは、極端な独裁体制と国連安保理決議に基づく経済制裁などで社会的にも経済的にも人民が疲弊している現状において、感染症の拡大という社会不安と安全保障上のダメージによる国内の混乱が、金正恩体制を揺るがしかねないと危惧して厳格な情報統制を敷いていることの証左でもある。

 

実際のところ、北朝鮮でどれほどこのウイルスの感染が影響しているかは不明ながら、3月に入って2日、9日、21日及び29日と(昨年と同等の)短距離弾道ミサイルや超大型ロケット弾などを日本海に発射したほか、4月の14日には、航空機と地上から短距離巡航ミサイルと推定される飛翔体を発射している。

これらの多くの場面で、金正恩委員長は現地指導しており、14日の発射の直前には、この訓練に関わったと思われる空軍部隊も視察した。
 
一方、4月に入って政治活動も活発に行われており、11日には朝鮮労働党政治局会議が開かれ、金正恩委員長が出席したのに続き、翌12日には最高人民会議も開催された。

世界中がコロナ渦に揺れるなかでも、ミサイルの発射訓練を繰り返す金正恩委員長

このような一連の金正恩の活動は、新型コロナウイルスの影響で3月に行われる予定であった米韓合同軍事演習が中止された一方で、北朝鮮には何の影響もなく、軍事的にも政治的にも国内が安定して着実に前進しているということを体現することで、「北朝鮮には新型コロナウイルスの影響が全くない」ということを内外に誇示する意図があったものと思われる。

確かに、北朝鮮のような内部統制の厳しい独裁国家では、人民の行動を強制的に制御して感染の拡大を抑制しやすいという側面もあるのかもしれない。

だが、それだけではない。北朝鮮は(内部情報を統制して都合の悪い事実を隠ぺいするという)中国指導部の内情を熟知しているがゆえに、武漢における感染の拡大を察知すると同時に、どこよりも早く中国人の入国を禁止して新型コロナウイルスの侵入を阻止しようとした。

実際のところゼロではないにしても、かなり感染者の拡大は抑え込んでいるのだろう。今後、感染の収束に確信が持てたならば、感染者がいることを公表して、中国などから支援を得ようとするかもしれない。

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