コロナ禍に乗じて挑発を繰り返す、中国・北朝鮮が招く「最悪の事態」

米国はいまや「手負いの獅子」か
鈴木 衛士 プロフィール

今回のような事例は、原子力空母という米国の象徴的な軍事アセット(資産)であり、クロージャー大佐のような艦長が存在していたから表に出てきた話であって、これはあくまで氷山の一角なのかもしれない。この他の海軍艦艇にも同様の被害が出る(または出ている)可能性は十分にある。

なぜならば、被弾した際の進水を食い止めるために艦内を細分化して密閉空間化している戦闘艦艇や、ましてや潜水艦などは、一人でも感染者が発生したら、クラスター(感染者集団)を発生させるリスクが極めて高いからだ。

これは、決して米国に限ったことではない。フランスも、原子力空母「シャルル・ドゴール」で乗組員の3分の1にあたる668人が感染したと発表している。おそらく、主要国の海軍は、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」におけるクラスター発生事案を目の当たりにして以来、乗組員の一人たりとも感染者を出さないよう神経を尖らせていることだろう。

米軍の隙を突き、活発に動き始めた中国軍

このような状況のなか、新型コロナウイルスの発生源でありながら、3月以降感染の拡大が収束に向かっている中国は、4月以降南シナ海や台湾周辺において、軍事的示威行動を活発化させている。

ちなみに、中国も3月上旬までは、何らかの形で軍事的な面にも影響が及んでいたはずである。ただ、一党独裁の全体主義国家であるがゆえに、内部情報を厳しく統制して表に出てこなかっただけの話であろう。

 

そんな中国で、武漢を中心にオーバーシュートが発生していた2月上旬(9日)、中国空軍の大型爆撃機(H-6K) 4機が援護戦闘機を伴い台湾方面に向かって飛来したあと、台湾南方の太平洋上から沖縄方面に機首を向けた。これに対して、航空自衛隊のスクランブル機が緊急発進し、当該機の行動の確認と写真撮影を実施した結果、爆撃機の翼下にKD-63「ASCM(空対地巡航ミサイル)」と見られるミサイル2基が搭載されていることを確認した。

この飛行経路を見ると、搭載している巡航ミサイルの射程圏内まで機首を沖縄方面に向けていることから、これは「沖縄本土に対する模擬攻撃」のミッション(作戦任務)と考えられ、わが国や在日米軍に対する挑発行為と捉えるべき軍事行動であった。

つまり、中国は、自国が非常事態で自らの安全保障にも影響が及びつつある懸念を相手に悟られないよう、あえてこのような挑発行動を行うことで我々をけん制しようとしたものと考えられる。

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