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沢木耕太郎が語った「自由で伸びやかな会話」のコツ

流れに身を委ねてみる

無駄なやりとりが「味」になる

―新作『沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉』は、沢木さんによるインタビュー集でも、明確なテーマがある対談でもない。タイトル通り、まさにミュージシャンたちの「セッション」のような、自由な対話が印象に残りました。

昔、吉行淳之介さん(小説家)から「沢木さんは、1年間にどのくらい対談するの?」と聞かれて、一つか二つだと言って驚かれたことがあります。吉行さんは週刊誌で対談連載をやっていたので、少ないという驚きがあったようです。

そんな僕でも、この仕事を40年以上やっていれば、結構な数の対談をこなしたことになります。

 

意識的にやってきたのは、井上陽水さん(第I巻収録)との対談のように余分なもの、人によってはどうでもいいような「遊び」の部分をしっかり取れる場で対談をすることでした。

要点をつままれる、良くいえば凝縮された対談はあまり面白いとは言えないですよね。一見、無駄なやりとりであっても、そこが味になるのが面白い対談です。

―初出からかなり加筆をしたものもあるとか。

例えば第3巻(4月発売)でサッカー日本代表の元監督、岡田武史さんとの対談を収録していますが、初出はかなり短いものでした。僕は対談の速記録はなるべく意識的にもらうようにしていて、今回、収録するにあたって、当時の速記録をもとに復元しました。

岡田さんは2002年の日韓W杯を前に、こういう話をしていたんだという驚きもあって、自分でも面白かったですよ。