ウイルス感染封じ込めには「集団免疫」獲得が重要?

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が増え続け「緊急事態宣言」が出された。日々増加する感染者数に、恐怖を身近に感じている人も少なくないはずだ。

COVID-19については、感染経路、潜伏期間、感染力など、徐々にわかってきたこともあるが、治療薬やワクチンがまだできていない未解決のウイルスであることに変わりはない。専門家の間では「人々が集団免疫を獲得するまで終息しない、戦いは長期戦になるだろう」という声も出ている。

「集団免疫」とは、感染症に対して、多くの人が免疫を獲得する状態のことをいう。多くの人がCOVID-19に対抗できるような免疫を持つようになれば、新たにウイルスに感染する人を減らし、免疫を持たない人が感染するリスクも同時に減らせるという考え方だ。ある特定のウイルスに対して効力を発揮する「獲得免疫」というものを得るには、そのウイルスに感染するか、ワクチンを接種し抗体(免疫のもと)を獲得する方法がある。

つまり、感染症を封じ込めるには、予防接種によって大勢の人が集団免疫を獲得することがとても大事だ。赤ちゃんのころに受けたBCGとか、風疹ワクチンなどの予防接種、毎年のインフルエンザワクチンは、そうした公衆衛生上の観点から行われている。ウイルスは変異しやすいから、ワクチンを打っても型が違っていると感染することはある。でも、一度その種のウイルスに対して免疫ができると症状は軽くて済むし、命を守ることができるとされている。今、COVID-19のワクチンが開発されれば、誰だって我先に「打ちたい!」と考えるはずだ。

一方で、私たちが注視したい感染症はほかにもある。特に女性にとって深刻なのが「ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症」だ。

なぜこのウイルスが怖いのかというと、いま日本で若年層に増えている子宮頸がんは、95%以上がヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって起こるがんだから。日本では毎年約1万人もの女性が子宮頸がんに罹患し、この病気で年間2900人が命を落としている(2019年のがん統計予測/国立がん研究センター情報サービス)。これは1日に8人もの女性が亡くなっている計算だ。みなさんはこの数字を、どう捉えるだろう。

近代免疫学の父、エドワード・ジェンナーは、天然痘ワクチンを開発。数々のワクチンが人類を救ってきた photo/Getty Images