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EU離脱の原点ーー「イギリス版ファシズム」という黒い歴史

労働者階級「反乱」の系譜

ブレグジットと排外主義

2020年1月31日、イギリスは正式にEUから離脱した。この離脱を問う国民投票が行われたのが2016年6月23日。実に3年半の紆余曲折を経て国民投票の結論は実行に移された。

この投票結果について、当時から現在までずっと繰り返されている説明の「型」がある。それは、EUからの移民労働力によって自分たちが職を脅かされていると考えた「排外主義的な労働者階級」が、移民排斥の意図をもって離脱を支持した、というものである。そしてそれに対し、リベラルで排外主義的ではない「多文化主義的な中流階級」は、EU残留に票を投じた、と。

この説明にはある程度の説得力があるし、数字もそれを裏付けているように見える。例えば、マーケティング・リサーチ企業イプソスによる調査結果を見てみよう。念のため、国民投票全体の結果はEUからの残留支持が約48%、離脱支持が約52%であった(投票率は72%)。イプソスによれば、社会階級別の投票割合は下図の通りであった。

  社会階級

  残留(%)

  離脱(%)

   AB

   59

   41

   C1

   52

   48

   C2

   38

   62

   DE

   36

   64

(https://www.ipsos.com/ipsos-mori/en-uk/how-britain-voted-2016-eu-referendumより)

イプソスによる社会階級の分類は、下記の通りである。括弧内は2009年時点での人口に占める割合である。

A: 高級管理・経営・専門職(4%)

B: 中級管理・経営・専門職(23%)

C1: 監督、事務、下級管理・経営・専門職(29%)

C2: 熟練肉体労働者(21%)

D: 半熟練または非熟練肉体労働者(15%)

E: 年金受給者、臨時雇いもしくは最低級労働者、公的失業保険のみを受給する失業者(8%)

(https://www.ipsos.com/sites/default/files/publication/6800-03/MediaCT_thoughtpiece_Social_Grade_July09_V3_WEB.pdfより)

イプソスはAとB、DとEはひとまとめにしているが、要するに中流階級と労働者階級の分かれ目はC1とC2の間にある。そして、残留・離脱の支持率はそこできれいに逆転しているのである。