コロナ禍のウラで外国人労働者を「見殺し」にする日本社会の闇

「使い捨て」のままでいいのか
芹澤 健介 プロフィール

日本政府の残酷な態度

「技能実習」という在留資格を失ったベーさんが、その代わりに得たのはいわゆる「難民ビザ」だ。「難民ビザ」とは、入管に難民認定申請すると、申請結果を待つ間は就労が許可される仕組みを指したもので、2015年ごろから2017年頃かけて申請者が急増したのもこうした理由があった(難民申請者数:2014年=5000人→2017年=1万9629人。3年間で約4倍に。現在は、難民認定制度の運用が変わり、就労は認められない)。

2018年2月に「難民ビザ」が切れた後、ベーさんは、在留資格がないまま埼玉県の金属加工工場や群馬県の溶接工場などで働いたという。

「でも、ビザがないと社長さんや会社に迷惑がかかるから、長くは働けない。溶接の仕事も3ヵ月で辞めた。去年の11月」

その後、父親が病気になったという連絡があり、早く帰ろうと思っているうちにコロナ騒動が持ち上がった。

2月下旬に入管出頭の手伝いをした吉水さんによると、「本来は3月25日の飛行機で帰国するはずだったんです」という。だが、コロナの影響で、飛行機が欠航になってしまった。

「それで前日の24日に再び出頭したら、入管の担当者から『まだANAが飛んでるからそれで帰りなさい』と言われたんですが、チケットは25万円」

「25万円は高くて払えないので『入管で(チケット代を)出してくれるんですか?』と聞いたら『それはできない』と言うので、結局、こちらが『臨時便が出たらそれで帰ります』という内容の誓約書を書くことで、ようやく2週間の滞在延長のビザが出ました。

現在は、ベトジェットなどの安い飛行機の臨時便が出るようなら大使館から連絡をもらうようにしているのですが、念のために再々出頭して45日間の延長ビザをもらったところです」

しかし、アルバイトをして生活費を稼ぐこともできない。

「生活費に困っているので、バイトを許可してほしいと入管にお願いしましたが、『ダメ』の一点張り。『どうやって生活すれば?』と聞いたら、『自分たちでどうにかして欲しい』といわれました」

どんな理由があろうと在留資格のない外国人は一刻も早く日本から出ていけということだろう。

たしかに不法滞在は褒められたものではないが、「自分たちでどうにかしてほしい」という言葉には、外国人労働者に対する日本政府の態度が凝縮されている。ある程度働いたら、あとは使い捨てだ。

 

ひとつ救いがあるとすれば、当のベーさんが意外にも明るかったことだ。

「私は、最初は運が悪かったけど、日本のことは好きだし、日本の人も好き。みんな優しい」

ベーさんは出国してから1年間は日本に入国できないが(※)、「もっと日本語を勉強して、また日本で働きたいです」と言っている。

(※)不法残留等を理由に退去強制された者や出国命令を受けて出国した者は、入管法の規定に基づき、原則として、一定期間日本に上陸することはできない。「強制退去」とされた者は強制退去された日から5年。「出国命令」により出国する者は、出国した日から1年。ベーさんは後者。