コロナ禍のウラで外国人労働者を「見殺し」にする日本社会の闇

「使い捨て」のままでいいのか
芹澤 健介 プロフィール

失踪するしかない技能実習生

「日新窟(にっしんくつ)」(東京・港区)は、“ベトナム人の駆け込み寺”として知られる浄土宗の寺院。

ベトナム出身の尼僧ティック・タム・チーさんや寺務長の吉水慈豊さんを頼りに、着の身着のままで寺に辿り着くベトナム人も少なくないという。

日新窟のFacebookより

保護されていたファン・ヴァン・ベーさん(30)はハノイ出身。現地の高校を卒業後、レストランのウェイターや自動車の洗車係をして生計を立てていたが、技能実習制度を知り、日本行きを決意した。約100万円の借金を背負い、技能実習生として来日したのは2014年だ。

「関空に着いたのが12月25日でした。それから1ヵ月大阪(の監理団体)にいて、福島県の会社に行きました」

ベーさんは、トビ職として採用され、その技術を覚えようと考えていたが、冬の福島でトビ職の仕事はほとんどなく、雪かきと倉庫の掃除をさせられる毎日だったという。

「寒かった。雪見るのも初めてだった」

日新窟の吉水慈豊さんと元技能実習生のベーさん

給料は説明されていた額より少なかった。手取りで15万円ほど稼げると思っていたが、家賃のほかに、電気・ガス・水道料金、社会保険などを差し引かれると残りは10万円程度。明細を見ると、「Wi-Fi費」として月額6000円も引かれていた。雑用を頼まれて残業しても残業代はつかなかった。

わずかな給料から実家への仕送りをして、自分の食費を差し引くと、ほとんど残らなかった。

「借金が返せない。それからトビの仕事も覚えない。だから、仕事を続けるのは難しいと思いました」

ベーさんは悩んだ挙げ句、1年2ヵ月後に失踪した。その後、関東各地を移動し、職を転々としながら、暮らしてきたという。

 

ベーさんのように、技能実習の現場から失踪してしまう人たちは毎年数千人規模になる。

「失踪してしまった子に話を聞くと、母国で聞いていた話と違うことをさせられたり、お給料が法外に安かったり、残業代が出なかったりということが多いですよね。つまり、ハズレくじを引いちゃった子たちが失踪してしまう」(吉水さん)