「非常識人」になるための5つの基本

連載『問題発見力を鍛える』vol.8
細谷 功 プロフィール
 

「そんなの常識だよ」と答えたくなるのは、誰かに「なぜそうするのか?」「なぜそうしてはいけないのか?」(それこそ「他人の話を聞きながらスマホをいじる」といった場面で)などと聞かれたときに、実は「明確に理由を説明できない」ときではないでしょうか? そうでなければ、その理由を答えているはずだからです。

つまり「常識」という言葉は「自分では正しいと以前から信じているが、実はその理由を説明できない」状況において発せられる言葉ということになります。連載で以前にお話した「そもそもなぜ?」を問うことが問題を発見するためのきっかけであるとすれば、常識という言葉を発するときの大部分において私たちは思考停止していることになります。

逆に言えば、その常識を説明するために考えることで、新たな問題が見つかるということです

図を見て下さい。ここでの左側が常識に従順な、でも思考停止している状態、右側が常識の理由や背景、つまり「なぜ?」を考えることで「新たな常識」を生み出すという状態です

いずれにしろ、常識というのは知識や経験の力から来るわけですが、必ずしも知識がたくさんあるからといって問題発見がよくできるわけではなく、その知識からいかに思考をめぐらせるか、言い換えれば図の右側のようにその常識の理由や背景を「なぜ?」と考えることで、新たな常識が生まれてくるというわけです。

具体例としては、これまでの連載でお話してきたような「スマホいじり」の件や「会議中のPCでの内職」を思い浮かべてもらえればこれらのプロセスの具体的イメージをつかんでもらうことができるでしょう。

また、先の「2月と8月は売れない」の例で言えば、「とにかくそこは売れないのが常識だから」ではなく、「なぜ2月と8月が?」と考えてみれば、業界や商品によってさまざまな仮説が考えられるでしょう。

  • 単に稼働日が少ないから
  • 寒すぎるから、暑すぎるから
  • 半期末との相対的関係で

……等、様々なことが考えられます。

ここで重要なのは、このような原因は環境変化等の前提条件によって異なるために、ビジネス環境が変わったときには、これらの常識は簡単に通用しなくなることがあり得るということです。

例えば、8月の稼働日であれば、B2Bであればまさにその通りかも知れませんが、B2Cになればあまり関係なくなる(むしろ休みが増える)とか、気温の話はネット販売になるとあまり関係なくなるといったことです。

VUCAの時代のように、まさに変化が大きいときにこそ常識を疑うことの重要性が上がります。

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