外出自粛で深刻化するDV被害…コロナがもたらす「家族崩壊」

加害者家族支援の現場から
阿部 恭子 プロフィール

家族依存が強い人々ほど社会との繋がりが希薄で、問題が起きた時に利用できる公的サービスなどの情報に疎い傾向がある。それは個人の問題だけではなく、「何かあればまず家族」という意識が社会に根強く、社会的援助に繋がるという発想を遠ざけている面もある。

経済的な問題から生じる家族間のトラブルは最も多い。政府が休業補償といった経済的援助を迅速に積極的に進めることにより、長期化する自粛生活の中で起きうるさまざまなリスクを減らし、社会だけではなく家庭内の治安も維持されるであろう。

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家族間でも「三密」を

家族間で起きた事件の背景を見ていくと、必ずしも不仲な親族間で起きているわけではない。

むしろ、関係性が密な家族ほど、家族への期待は無限であり、何らかの事情によって家族が期待されている役割を果たしきれなくなった時に感情が爆発し、事件に発展している。

社会では、「密閉」「密集」「密接」を避ける「三密」が叫ばれているが、家族間でも「三密」を意識すべきである。

家庭が閉じられた空間にならないよう社会との繋がりを維持し、家族間で問題を解決しようとせず公的なサービスや専門機関を利用する。そして、家族に対する無遠慮な言動や過剰な欲求は抑えるべきである。

社会で実践されているような「適切な距離」を意識することだけでもトラブルのリスクを減らすことができる。

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、収束が見えず、誰も経験したことのない事態に直面している。外出自粛が長期化する可能性もあり、家族と過ごす人々にとって家族間で起こる事件は決して対岸の火事ではないはずだ。無理をしていないか、誰かが犠牲になっていないか、今一度、家族の関係性を見つめ直す時期ではないだろうか。