外出自粛で深刻化するDV被害…コロナがもたらす「家族崩壊」

加害者家族支援の現場から
阿部 恭子 プロフィール

それでも陽子さんは、離婚に踏み切る自信が持てずにいた。加害者家族となってから友人関係は途絶え、実家の親族からも、感染者の多い都市で暮らす陽子さんにはしばらく帰って来て欲しくないと言われている。社会的に孤立していくなかで、家族だけで何とかしなければという焦燥感が家族を追いつめていた。

夫はしばらく妻子と離れ、実家で就職活動をすることにした。物理的な距離をとるしか、互いの理性を保つ方法はないと考え、夫婦は別居を決意した。

増加するコロナ同居

「コロナ別居」や「コロナ離婚」が出てくる一方で、新型コロナの影響で収入が減り、家賃を抑える目的での同居や、学校が休みになっていることで子どもの面倒を見てもらうために同居するという「コロナ同居」も増えるであろう。

本田裕子さん(仮名・30代)は、新型コロナの影響で夫の収入が激減したことにより、子どもを連れて夫の実家に身を寄せることにした。

裕子さんの父親は刑務所に服役しており、結婚にあたっては夫の両親には反対されるのではないかと心配していた。しかし夫の両親は、すべてを受け入れたうえで、ふたりの結婚を祝福してくれたのだ。毎年、年末年始や連休は子どもを連れて帰省しており、家族関係は良好だった。

 

今回の同居も、家賃や子どもの世話を考えて、夫の両親が提案してくれた。同居生活は上手くいくと思われたが、家族関係に綻びが出始めたのは2週間を過ぎた頃だった。小学生のふたりの息子は腕白で、高齢の両親を煩わせるようになった。

昼間、職場に居る夫のもとに、両親から「子どもたちの躾がなっていない」という電話が度々来るのだという。夫の両親は、日増しに態度がよそよそしくなっていき、食事も別々に取るようになり、これまでのように孫の面倒を見てくれることもなくなってしまった。