外出自粛で深刻化するDV被害…コロナがもたらす「家族崩壊」

加害者家族支援の現場から
阿部 恭子 プロフィール

「家にいる夫を見るたびに、刑務所に戻って欲しいと思ってしまいます……」

東京都内で暮らす渡辺陽子さん(仮名・30代)の夫は、交通死亡事故を起こして服役しており、この春出所したばかりだ。出所後、夫は友人の経営する飲食店に勤務する予定だったが、友人は新型コロナの影響で店を畳んでしまい、就職の話は消えてしまった。

刑務所生活で世間に疎くなっている夫は、友人に裏切られたと落ち込むばかりで仕事を探そうともしない。出所後は、陽子さんひとりの収入で、子どもと三人の生活を支えていた。

2年前、夫は会社からの帰宅途中に死亡事故を起こした。事故によって仕事を失い、転居を余儀なくされ、家族の生活は一変した。それでも陽子さんは夫に同情的で、この困難を家族三人で乗り越えていこうと決意した。

夫は遠方の刑務所に収監されることになり、面会に通うには時間も費用も要した。それでも、月に2回は必ず子どもと一緒に面会に通った。友人が就職の面倒を見てくれるということになり、再び家族三人で暮らす日々を心待ちにしていた。それがまさか、世の中がこんな事態になるとは夢にも思わなかった。

 

コロナの影響は陽子さんの仕事にも及んでおり、これまでの給料がこの先も保証されるわけではない。夫には、アルバイトでもいいから収入を得ることを考えて欲しいが、夫は何かと理由をつけてなかなか動こうとしなかった。

夫の顔を見るたびに、この先、家族の生活がどうなってしまうのか不安が募り、一刻も早く職に就くようにと急かし、暴言を吐いてしまう。夫は怒りを露わにし、家庭はいつも修羅場になっていた。