孫正義、柳井正、永守重信…コロナ大不況の中、直面する「後継者問題」

やはり、創業者は死ぬまでトップなのか
長田 貴仁 プロフィール

「世襲企業」は本当に弱いのか?

日本企業にはファミリービジネスの比率が高く、コーポレートガバナンス(企業統治)を抜きにしては日本経済を語れない。中小企業だけでなく、トヨタ自動車やサントリーといった大企業にも、現在も創業家が君臨し、強い競争力を発揮しているところが少なくない。

このような現実に反して、ファミリービジネスは時代遅れの経営体制と見られてきた。(1)所有・経営の両面で創業家が大きな影響力を有し、チェック機能が働かなくなる、(2)「特権階級」になれない一族以外の社員のモチベーションが低下する、(3)世襲が原則となり、優秀な人材が経営者になるとは限らない、(4)「家業」の存続を優先するあまり保守的になりがちである――といった短所がクローズアップされていたからだ。マスコミでもこれらのマイナス面が注視され報道されることが多かったため、ファミリービジネス否定論が世論として定着した感がある。

 

一方、(1)オーナーが経営しているので、企業成長=家の繁栄という価値観から業績が「他人ごと」とは思えないゆえ、経営に人生を懸ける、(2)一代限りで終えるのではなく代々継がなくてはならないので、長期的な視点で経営に当たる、(3)顧客、取引先、地域社会など、さまざまなステークフォルダー(利害関係者)と継続的な関係を築ける――といった長所が見直され、かつ、業績が比較的堅調な企業が多いことから、近年では、経営学でもファミリービジネスに関する研究が進化している。

柳井氏は世論や株主の反感を買うことなく、オーナーとしての影響力を維持するため、ファミリービジネスの短所を極力抑え、長所を最大限に発揮しようと考えているようだ。