孫正義、柳井正、永守重信…コロナ大不況の中、直面する「後継者問題」

やはり、創業者は死ぬまでトップなのか
長田 貴仁 プロフィール

孫氏はこの難局を乗り越えることができるだろうか。経営を自ら引き続き行うと意思決定した戦略の真価が問われる。再び大きなホラ、いや、ビジョンを掲げ、実現してほしいものだ。皮肉にも、2020年3月期に約1.8兆円の投資損失を計上した傘下のベンチャーキャピタルの社名は「ビジョン・ファンド」だが……。

 

柳井氏も引退を先延ばしに

孫氏が社長退任を口にし始めたとき、当時、SBGの社外取締役を務めていた柳井正・ファーストリテイリング(ユニクロ、GUなどを運営)会長兼社長は「60(歳)にもなっていないのに引退。冗談じゃない、と申し上げた」とコメントした。柳井氏は、孫氏と同じような人は二度と出てこない、集団指導体制をリードできる人が後継者にふさわしいと見ている。

この考えは、柳井氏自身の後継者選びにも反映することになる。

2002年、「60歳で引退する」と語っていた50代前半の柳井氏は、後任に旭硝子(現AGC)などを経て入社した玉塚元一氏を指名した。周囲も玉塚氏が社長になるものと思い込んでいたが、3年後には業績が頭打ちとなり、事業見直しで陣頭指揮を執るため、柳井氏が社長に復帰した。

その後もトップの席を譲ることはなく、13年には60歳から65歳に社長引退時期を延期。さらには「70歳で引退」と、後継者へのバトンタッチはどんどん後に延ばされていった。

このように「引退時期変更」を何度か耳にしてきたせいか、口の悪いジャーナリストは柳井氏のことを「オオカミ少年」と揶揄している。その「オオカミ少年」も、2020年2月で71歳を迎えた。引退を予定していた歳を超えたため、同社のトップ人事は注目の的になっている。