孫正義、柳井正、永守重信…コロナ大不況の中、直面する「後継者問題」

やはり、創業者は死ぬまでトップなのか
長田 貴仁 プロフィール

孫氏は、ときどき、次のジョークを口にする。

「私をホラ吹きだと思っている人が少なくありませんが、ホラを英語に訳すと何と言うか知っていますか。ビジョンと言うんです」

たしかに、孫氏の経営者人生を振り返ってみると、多くの局面で有言実行を体現してきた。ところが、「60代で事業を後継者に引き継ぐ」はまだ実現できていない。

孫氏は2020年8月に63歳の誕生日を迎えるが、今もなお会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)としてSBGを統治している。

2015年に孫氏は、老害と言われる前に早くバトンを渡さないといけないと真剣に考え、ニケシュ・アローラ副社長(元グーグル副社長)を後継者として指名した。

 
アローラ氏と孫氏(Photo by gettyimages)

ところが翌年、アローラ氏は同社を去ることになった。孫氏は2016年6月に開かれた第36回定時株主総会で次のように語った。

「俺は十分枯れたかなと考えると、もうちょっと社長を続けていたいという欲が出てきた。ニケシュに申し訳ないとお詫びして、今回の発表に至りました。最低でもあと5~10年は社長を続けます」

「60歳になれば後継者に経営を任せる」と宣言していた孫氏だが、その時が来ると「心変わり」してしまったのだ。きっとこの頃は、明るい未来が続くと予感していたのだろう。 

だが、状況は一変した。2019年度後半から業績と財務内容が急激に悪化し始めた。2020年4月13日、SBGは同年3月期の連結業績予想として、営業損益が1兆3500億円(前期は2兆3539億円の黒字)、最終損益が7500億円の赤字(前期は1兆4111億円の黒字)に転落する見通しだと発表した。新型コロナウイルスの影響で投資先のベンチャー企業の経営が悪化し、企業価値を引き下げた。