一律なルールより、
ひとりひとりに何ができるか 

しかし、自粛しなくてはいけないと行っても買い物をずっと我慢するわけにはいかない。そして、人にはそれぞれの家庭の状況もある。一律に買い物は少なく、一人で、というわけにはいかないケースもある。もちろん、ひとりで必要なものだけを購入することが一番大切だけれど、子供のケアをどうしても誰にも頼めない、留守番させられない人は、子どもを走り回らせないなどマナーを守った上で子連れで買い物をしてほしいと思う。ただ、個々それぞれの事情の中で、知恵を出し合うことでスーパーの混雑は減らせる可能性はあるだろう。

取材の中で、今回の問題を家族で話し合ったというBさんのケースがとても興味深いので、ぜひともご紹介したい。

元編集者のBさん(39歳)は5歳と7歳の男の子がいて、メーカー勤務の夫(43歳)も3月半ばからリモートワークが始まっていた。

「極力外出しないように、子供たちも夫も頑張ってくれていますが、隙あらば外に出たいという感じがあって、私が買い物に出るというと夫も子供たちもついてきてしまっていました。3月中は、そんなに気になりませんでしたが、緊急事態宣言後は、本当にいつ行ってもスーパーが混んでいて、これは家族で行くのは危険だと思うようになりました。

でも、家族で買い物に行くのが一種にリフレッシュになって、そういうサイクルが出来上がってしまっていたので、次から買い物は私一人で行くからと宣言したら、夫や息子からも不満が出てしまったんです」

夫や息子の不満は、「えっ~、出かけられるチャンスなのに~」というもの。確かに、リフレッシュになるが、それは果たして今本当に必要なことなのか、家族で話し合ったという。

「頭ごなしに理由もなくダメというと、不満がだけが残ってストレスになると思ったんです。今回の新型コロナでは家族がみんな家にいるので、できるだけストレスは生みたくありません。それまでにも、困ったことがあると家族で“会議”という名目で話し合っていました。今回も“B家の買い物について”ときちんと議題をつけて、会社で行うような形であえて会議をすることにしました。

まず、家族それぞれにどうして買い物にいっしょに行きたいのか理由をあげてもらいました。その後、ほかの事で解消できないのか、代案を考えることにしました。ただ話し合いだけだと、子供が飽きてしまうので、カレンダーの裏を使って、そこに項目を書き出して、付箋などを使って、好きに書き出してもらいました。頭ごなしにダメというよりもみんなの声を聞いて考えるので、楽しかったみたいでいろんな意見が出てきました」

買い物にいきたい理由は、「家にずっといるのがつまらないから」「外に出たいから」「みんなでおでかけしたいから」「自分が食べたいものを買ってほしいから」「お手伝いがしたいから」などが上がったというもの。そして、これらの項目は代案が立てられるか、ひとつずつ考えていったという。

「家に飽きて外に出たいなら、買い物の代わりに、人が少ない時間に近所の河原とか公園とかに定期的におでかけをしようということが決まりました。在宅ワークだとメリハリがなくなりがちですが、お休みの日をきちんと決めて、その日は家族みんなで日曜日として仕事や勉強はなしにして、完全リラックスすることにしました。また、夫の“リフレッシュのために外に買い物に行きたい”という項目は、家族単位で動く必要はないから、買い物を夫婦で交代制にして、買い物当番のときには1品は自分の好きなものを購入していいというご褒美項目を作ることにしました」

“会議”というと堅苦しいイメージがあるが、疑似会社やちょっと大人な感じが味わえる“ごっこ感”がいいのか、子供たちは週一の会議をとても楽しみにしているという。なかなかBさんのようにはいかないかもしれないが、話し合いをエンターテイメントにできるのはまさに理想的だ。

散歩や軽い運動は政府も推奨。人混みを避けて近所に出かけてリフレッシュは大事なことだ(写真の人物は本文とは関係ありません)photo/Getty Images