傑作ドラマ『岸辺のアルバム』を手掛けた、堀川とんこう氏の死を悼む

グッドバイ・ママ、あこがれ共同隊も…
高堀 冬彦 プロフィール

若者たちの挫折もありのままに

主題歌『風の街』を作曲した吉田拓郎(74)や引退した山口百恵さん(61)もゲスト出演した。当時の人気アイドルや売れっ子フォークシンガーが大挙登場したため、のちのトレンディドラマと同じ系譜にあると見られがちだが、それは少し違うだろう。若者たちは挫折するし、裏切りや憎しみも交錯した。西城も非業の死を遂げてしまう。夢を抱くのはたやすいが、それを叶えるのは並大抵ではないという現実が冷徹なまでに描かれていた。

『風の街』(山田パンダ)

そもそも、1990年前後のトレンディドラマは視聴率を獲ることを第一目標としていたが、堀川氏は視聴率至上主義を否定していた。

「各局とも市場調査をするが、これがくせ者。『F1(20~34歳女性)が見ないと視聴率が取れない。趣味や嗜好を調べろ』と、経済原理だけで制作する。大ヒットした『北の国から』(フジテレビ)は全体的に暗く、市場調査から生まれたものではない」(2003年10月19日付、読売新聞大阪本社版朝刊)

堀川氏は、視聴率とは狙うものではなく、結果として付いてくるものだと考えていた。『あこがれ共同隊』の場合、豪華出演陣を集めながら、視聴率は振るわず、26回の放送予定だったものの、17回で打ち切りになる。裏番組が全盛期の『太陽にほえろ!』だったことが一番の理由だが、青春と夢を文学的に描いており、中高年には受け入れがたかったせいもあるだろう。

 

その分、当時の10代、20代には強いインパクトを与えた。小泉今日子(54)が「子供のころ、このドラマを見て原宿に憧れた」と語ったのは有名な話。小泉以外にもそんな若者が大勢いた。このドラマによってファッション業界に興味を持った若者も少なくない。