お茶の噂

ほこりが浮いたらいいお茶の証し?

Photo:Sasaki Takeshi

毎日、自分で淹れたお茶を飲む人なら、淹れたばかりのお茶の表面に、ほこりのようなものが浮いているのを見つけたことがあるかもしれない。これは毛茸と呼ばれるもので、茶葉の新芽にだけ現れる産毛のようなものなんだそう

「毛茸は、新芽の時期にだけ、葉の裏側に出現します。毛茸が浮いているお茶は、若く柔らかな新芽を使った上等なお茶の証しだと言えます」(大森正司教授)

無糖のおいしいお茶飲料は日本にしかない

日本にはさまざまな無糖のペットボトル茶が販売されているが、実はこれ、世界的には珍しいことなんだそう。

お茶発祥の地、中国でも、中国製の無糖のペットボトル茶はほとんど見かけません。そもそも中国では、冷たいお茶を飲む習慣がないこともありますが、お茶本来のうまみや風味を損なわずにペットボトル飲料にするには高度な技術が必要なのです。現地で無糖のペットボトル茶を飲んだことがありますが、自分で淹れたお茶には遠く及ばないという印象でした」(大森正司教授)

お茶を飲む習慣が死亡リスクを下げるかもしれない

カテキンが血圧や体脂肪を調節する、カフェインが血管を健康に保つ、フッ素が虫歯を予防する……など、緑茶に謳われている健康効果は、頭のてっぺんから脚の先まで実にいろいろあるけれど、緑茶を飲む習慣によって、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患の死亡の危険度が下がるという研究論文が、健康効果を実証している。おいしくて健康にいいなら言うことなし!!

最近の急須は、茶柱が立たない

お茶の水面に茎が縦に浮くことを茶柱が立つと言い、めったに起こらないため、縁起がいいこととして古くから語り継がれてきた。しかし、最近は、この茶柱に、さらにお目にかかれなくなっているというのだ

「茶葉の加工技術や、茶こしの性能の向上により、茶葉に茎が混入することも、茎が茶こしを通過することもほとんどなくなっています」(大森正司教授)

こちらは必ず茶柱が立つお茶!!

茶柱と粉末緑茶を湯呑みに入れ、お湯を注ぐと茶柱が立つ。3包¥880(税込)/縁起茶工房クピト

ラテアートならぬお茶アートがある

宋の時代の中国に、点てたお茶の表面に立つ泡に筆で絵を描く茶百戯という遊びについての記録が残っている。分茶とも呼ばれ、やがて消えてしまう泡に絵を描くというなんとも風流な遊びは、西洋のラテアートとそっくり。現在の中国や日本などでも研究している人は多く、お茶文化に触れられる題材として、ワークショップやカルチャースクールなどでも人気なんだそう。

蛇口からお茶の出る小学校がある

写真提供:静岡県島田市

一見すると都市伝説のような本当の話。

「静岡県島田市では、子どものころからお茶に親しんでもらうため、そして茶需要の拡大や茶業の振興につなげるため、蛇口から冷茶の出る給茶機を、市内の小中学校6校に設置しています。運動後の利用が多いこと、変色しにくいこと、渋みが出にくくうまみが出ることから冷茶です」(島田市役所広報情報課 茂川裕行さん)

泡立つお茶、酸っぱいお茶、珍しいお茶が各地にある

日本各地には、その土地で独自に発展したローカルなお茶が存在する。全国的に知名度がある京番茶や加賀棒茶などを除けば、全国に流通することの少ない珍しいお茶は、旅行などで訪れた際に、是非、買い求めたい。

【新潟、富山】ばたばた茶
蒸した茶葉を桶で発酵させ天日干しにしてつくる番茶で、新潟県と富山県の一部に伝わる。名前は、飲むときに茶せんでばたばたとかきまわして飲むことに由来するとか。

【徳島】阿波晩茶
枝からしごき取った茶葉を茹で、揉み、桶に詰め漬け込んで乳酸発酵させ、天日干しにして完成。水色は透明感のある黄金色で口当たりがよく、乳酸発酵茶ならではの爽やかな酸味がある。

【島根】ぼてぼて茶
具を混ぜて食べるためのお茶。茶の花入りの番茶を煮出して茶碗に注ぎ、茶せんの先に塩をつけて泡立てる。赤飯、昆布、しいたけなど好みの具を入れて混ぜ、茶碗の底をトントンたたいて食べる。

【鹿児島】はんず茶
水甕を斜めに傾けてかまどの上に置き、中に茶葉を入れて、木の枝でかき混ぜながら炒る。水甕を指す「半胴」がなまったのが由来。

【京都】京番茶
蒸してから乾燥させ蔵の中で成熟させる。焦げた葉や茎から出る煙を巻き込んで炒るため、独特のスモーキーな香りと味わいを楽しめる。

【高知】碁石茶
茶葉を蒸し、土間に広げ、1週間ほどカビ付けをし、桶に数週間漬け込んで発酵させ天日干しをする。甘酸っぱくさっぱりとした味わい。

【宮崎】カッポ茶
山仕事の合間に飲む焼き茶は、焚き火で竹筒に湯を沸かし、その中に、その場で採って焚き火であぶった茶の枝をつっこんで淹れるワイルドな飲み方。お茶をそそぐときの音が由来とか。

【沖縄】ぶくぶく茶
女性の集まりや船出のお祝いなどにふるまわれる庶民のお茶。茶せんで泡立てたお茶を、赤飯を入れた茶碗に注ぎ、こんもり盛った泡の上に刻んだ落花生をふりかける。さじは使わず泡だけが残ってしまわないように飲む。

●情報は、FRaU2020年5月号発売時点のものです。
Photo:Sasaki Takeshi Writing:Hanada Yoko