中国から伝わったとされるお茶は、日本で独自に進化をとげ、私たち日本人の生活になじみ深いものになりました。日常的に急須でお茶を淹れる機会がなくても、日本人なら知っておくべき日本茶の基礎知識や、おもしろい噂について、あらためておさらいしましょう。

●お茶のプロに聞きました!
日本茶インストラクター
ブレケル・オスカルさん

スウェーデン出身。手揉み茶の教師補の資格を外国人として初取得。日本茶ブランド「Oscar Brekell's Tea Selection」監修。国内外でのセミナー等を通じ日本茶の普及を目指す。Instagram:@brekell
大妻女子大学名誉教授
大森正司さん

お茶の科学的な薬効、ルーツ、伝統食品と健康に関する科学的・文化的な背景などについて50年以上にわたり多方面から調査・研究を行なっている。専門は食品科学、食品微生物学。著書に「お茶の科学」などがある。

お茶の常識

緑茶も紅茶も烏龍茶も同じ木の葉っぱから

世界中で飲まれているお茶が、同じ植物から収穫された葉を使っていることは、意外と知られていないかもしれない

「お茶の原料は、学名で『カメリアシネンシス』というツバキ科の木の葉や茎など。栽培方法と製法によって形も色も香味も大きく変わります。烏龍茶と紅茶は発酵工程があり、形と色だけでなく、香味もバリエーションが豊かです。それに対して発酵させない緑茶、特に摘みたての葉を蒸してつくる日本茶はもっともお茶のナチュラルな香りが味わえる茶種となります」(ブレケル・オスカルさん)

ほうじ茶は緑茶からできている

Photo:Nakagaki Misa

麦茶、蕎麦茶、昆布茶、ゆず茶……。日本には、茶の葉以外の植物を原料としていても茶と名前のつくものがたくさんある。このことから、水色が茶色のほうじ茶を、緑茶の仲間だと思っていない人は少なくない。

「煎茶や番茶を焙じて(煎って)つくるので、ほうじ茶という名がついています。一番の特徴は香ばしい香り。また、緑茶の苦み成分であるカテキン類やカフェインが、加熱によって壊れるので、苦みがほとんどありません。就寝前に飲めるお茶としてもおなじみです」(大森正司教授)

4月、5月は新茶の季節

新茶とは、その年初めて摘み取った新芽でつくるお茶のこと。このころに見られる茶摘みの風景は初夏の風物詩として『茶摘み』の歌に歌われており、歌い出しの歌詞「夏も近づく八十八夜」とは、立春から数えて88日目である5月の初旬を指している

「新茶はこの日に摘み取ると思っている人も多いと思いますが、実は必ずしもそうではありません。茶農家の方々は、いいお茶を作るために茶葉の伸び具合を見て摘み取りのタイミングを判断します。地域や品種などによっても差がありますが、主な産地では4月から5月の間に摘み取りが行われます。新茶はうまみや甘みの成分が多く含まれているほか、新芽ならではの新緑を思わせる清々しい香りも楽しめます。毎年6月ごろまで販売されますので、是非、この時期にお茶屋さんで新茶を買ってみてください」(ブレケル・オスカルさん)

静岡は、日本一のお茶処

京都の宇治茶、福岡の八女茶、埼玉の狭山茶など、有名なお茶処と銘柄は全国にある。その中で、静岡県が日本一と言われる理由は、生産量、消費量の統計調査による。県別の生産量では1位で、国内生産量の約4割を占める。また、購入量調査においても、購入額調査においても、上位3位に静岡県内のふたつの市がランクインしている。このことから、生産量が多いだけでなく、静岡県民が、上質なお茶を日常的にたくさん飲んでいると言える。