# 新型コロナウイルス

スウェーデン流「ゆるいコロナ対策」が医療崩壊の抑止力となったワケ

政府への信頼と手厚い補償がある
綿貫 朋子 プロフィール

もともとある比較的手厚い社会補償も、一定の安心基盤となっている。

例えば、 子供の看病のために在宅する場合、所得の約8割が補償されるVABという制度がある。新型コロナウイルス対策として、医師証明証の提出が省略された。また、新型コロナウイルスに限らず、他人への感染リスクのために欠勤する場合の補償金(所得の8割弱、上限あり)が以前からある。

その他にも、失業保険への受給条件の一時的な緩和、最低補償金額の引き上げなどを定めた法案が可決された。スウェーデンで今のところ、現金一律給付を求める声をあまり聞かないのは、おそらくこうした背景からだろう。

試行錯誤が続く対策

もちろん、各国と同様にスウエーデンの政策も万全とはいいがたい。今の経済支援策ではまったく足りないとの声も大きいし、方針の運用で試行錯誤している様子もうかがえる。

例えば、患者の急増を見据えて、医療従事者の防護器具の基準を緩和したが、命の危険に身をさらしながら働いている現場のスタッフからは反発の声が上がった。

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また「人との距離をとる」という勧告がありながら、ストックホルム県の公共交通網を運営するSLが、人員不足を理由にバスなどの本数を大幅に減らしたため、都市部の路線で大混雑が起こり、公衆衛生局や市民から批判が高まった(スウェーデンラジオ・SR)。

公衆衛生庁が新たに公共交通機関への勧告を明記したことから、SLは改善を約束したが、まだ問題は解消していないようだ(エクスプレッセン紙)。

 

さらに「レストランやバーなどでの混雑や列並び禁止」についても、規則に反した例が多数見られるため、「守られない場合は営業停止にもなり得る」と当局が発言した。

しかし、ロックアウトなどの強い規制を取らないスウェーデンが医療崩壊を防げているのはなぜだろう。