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なぜWHOは中国に牛耳られたのか…? コロナ危機のもう1つの真実

トランプが激怒しても何も変わらない…
夫馬 賢治 プロフィール

なぜ、「WHOは中国が牛耳っている」のか?

WHOの例で見たように、国際機関は先進国が中心となって活動資金を支えている、この考え方からすると、WHOは今も、アメリカを中心とした先進国が主導していることになるのだが、どうして「WHOは中国が牛耳っている」と言われる状態になったのか

鍵を握るのは発展途上国の存在だ。前述したようにWHO事務局長は、国連加盟国の投票で選ばれる。そして投票権は、拠出額ではなく、1国が平等に1票を投じて行われる。

エチオピア出身のテドロス事務局長が当選した選挙でも、イギリスとパキスタンからも候補者が出ていた。こういう状況では、国数の多い発展途上国票を固めたほうが、最終的に当選する。

なぜ中国は、これほどまで発展途上国から支持を集めているのか。それは、アメリカに替わって中国が国際公共財を提供してくれるケースが増えたからだ。今回の新型コロナウイルスでも、マスクや人工呼吸器は、アメリカが禁輸したため、ほとんどが中国からやってくる。

中国の地下鉄駅にあるマスクの自動販売機。by Gettyimages

アメリカ政府ですら4月3日に、中国企業4社が中国基準で生産した「KN95マスク」を医療現場で使用することを許可したぐらいだ。日本でも、ソフトバンクの孫正義氏が、月産3億枚のマスクを確保したことが話題となったが、供給元は中国のBYDで、アメリカが許可した中国企業4社のうちの1社だ。つまり日本でも中国マスクが入ってくることで歓喜している。

 

中国が途上国から支持されるもう一つの理由は、密接な経済関係にある。中国は今、途上国への輸出総額で世界1位、輸入総額で世界2位の地位にある。特に重要なのが輸入総額(下図の右)で、中国がアメリカに迫ろうとしている。

いま開発学と呼ばれる分野では、「グローバル・バリューチェーン(GVC)」という概念が注目を集めている。途上国が発展するためには、海外企業に材料や部品を供給することで、技術を磨き、経済的にも力をつけることができるという理論だ。

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