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なぜWHOは中国に牛耳られたのか…? コロナ危機のもう1つの真実

トランプが激怒しても何も変わらない…
夫馬 賢治 プロフィール

WHOとマネー

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WHOの年間の収入は、2018年度で29億ドルある。内訳は、国連加盟国がGDP等の経済力で分担が割当てられた義務的拠出が総額5億ドル。国やその他の団体からの自発的寄付が23億ドル。現物提供と事業収入が1億ドルという状況だった。

割当分担金と自発的寄付を合わせた支払額が最も多い国は、アメリカで3.4億ドル(このうち自発的寄付が2.8億ドル)。そのあと、ドイツが1.8億ドル(同1.5億ドル)、日本が1.3億ドル(同0.9億ドル)、EUが7300万ドル(全額が自発的寄付)、中国は4400万ドル(同600万ドル)、フランス3500万ドル(同900万ドル)と続く。

NGOや企業も積極的に寄付している。例えば、米ビル・メリンダ・ゲイツ財団(ビル・ゲイツの財団)が2.3億ドル。またこの財団は、GAVIアライアンスという活動も運営しており、ここからの寄付も合わせると総額3.9億ドル。アメリカ政府の拠出額を超え、WHOの収入を最も支えている存在だ。

他には、サウジアラビア国王の「キングサルマン人道支援および救援センター」が2400万ドル、ブルームバーグ・ファミリー財団が1100万ドル寄付していたりする。

 

世界のパワーバランスはどう決まる…?

国際政治学の分野では、このような国際機関の機能を「国際公共財」と呼んだりする。なぜなら、国際機関の予算は発展途上国への支援に使われることが多く、国内政府で言うところの「社会インフラ」の役割を果たしているからだ。そして、国際政治学では、この国際公共財の担い手に注目しながら、世界のパワーバランスを分析していくことも多い。

かつて国際公共財は、大英帝国と呼ばれたイギリスが担っており、その時代は「パックス・ブリタニカ(イギリスによる平和)」と呼ばれた。第二次世界大戦後は、その覇権国の地位がアメリカに移り「パックス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」と呼ばれた。

実際にアメリカは、第二次世界大戦後に国際機関に多額の資金を拠出して活動を支え、経済面でも平和を維持するためのマクロ金融や自由貿易体制を推進するとともに、米軍を世界各地に駐留させてきた。このような覇権国によって世界秩序がもたらされるという考え方を、国際政治学では「覇権安定論」と言う。

だが、1990年代の終わり頃から、アメリカ1カ国では世界秩序を支えるために十分な資金が、経済的にも国会議員や世論の目からも出せなくなり、国際機関を中心に複数の国々で世界秩序を保っていく「国際レジーム論」という考え方が生まれた。

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