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コロナ危機のいま、「空気を読み、人望がある」社長ほど会社を潰す…!

修羅場の経営者に求められる8つの要諦

新型コロナの世界的な感染拡大は、国内外の人の流れを妨げ、グローバルな経済活動に急ブレーキをかけている。営業自粛を余儀なくされた飲食店など中小企業の危機に注目が集まっているが、グローバルな景気後退が大企業の経営すらも揺さぶりつつある。

たとえば、大幅な減便を迫られている世界中の大手エアラインの経営が苦しくなっており、財務の健全性が高い日本のJALやANAでさえ、資金繰りに不安を抱えている状況だ。こうした危機時、修羅場で求められる経営者の資質とは何なのか―。

経営共創基盤代表取締役CEO(最高経営責任者)として様々な企業の再生や成長支援に取り組む日本を代表する経営コンサルタントである冨山和彦氏と新作小説『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で、メガバンクの未来や組織のありようを独自の視点で描き出した作家の小野一起氏が、緊急対談を敢行した。さまざま大企業の修羅場を見てきた冨山氏が示した「危機時の経営者に求められる8つの要件」とは――。

対談撮影/小川光 編集協力/村上結希

コロナで「本物のリーダーシップ」が問われる時代へ

小野 新型コロナの感染拡大を受けて、世界中のあらゆる企業が危機フェーズに入りました。こういう危機時こそ、トップのリーダーシップが問われます。ただ終身雇用、年功序列の典型的日本企業で、ところてん式にサラリーマンの最終ポストとしてトップにたどり着いたようなタイプの日本型の経営者には、こうした危機対応は難題だと思います。

今回のようなケースでは、社員の命を守り、社会を守る働き方をどのように設計するか、サービスや生産活動の縮小や停止の判断、様々な情報発信も問われます。さらに、ピンチをチャンスと捉え、着々とビジネスの拡大やM&A(企業の合併、再編)の準備を整えておく強かな戦略性も求められると思います。

冨山さんは、新型コロナ・ショックを受けた日本の経営者の動きをどう分析されていますか。

 

冨山 産業再生機構の実務トップ、JALタスクフォース、そして経営共創基盤(IGPI)の200名の企業再生プロフェッショナルのトップとして私自身、数多くの企業の再生にたずさわる経験をしてきました。その経験から言えば危機時や修羅場で機能するトップは、組織人として有能で人柄もいいタイプは、少なくともトップとしてはダメです。

空気を読み、気遣いができ、人の意見をよく聞き、上司からも部下からも人望があって、行儀も良くて、敵がいない、だから調整能力抜群……という、いかにも日本の伝統的組織において平時に出世するタイプは役に立ちません