試合もなく練習が満足にできない現状

新型コロナウイルスの感染が都市部で急速に拡大している事態を受け、政府から東京など7都府県を対象に「緊急事態宣言」 が発令された。
外を歩くのがはばかれるような自粛ムードのなか、日本のアスリートはどんなふうに自分自身を保っているのだろうか?

筆者のいう「アスリート」は、オリンピックに出るような選手や、プロ選手だけではない。活動を中止されている中学や高校、大学の運動部員、そして少年サッカーや少年野球、スポーツ少年団やクラブに所属する小学生たち無名でも、小さくても、たくさんのアスリートがいる

プロだけではない。真剣にスポーツに励んでいるすべての人が「アスリート」だ Photo by iStock

見えないウイルスによって「日常」を奪われたアスリートたちに手を差し伸べたのが、スポーツ心理学における日本の第一人者で、園田学園女子大学教授の荒木香織さんだ。南アフリカに歴史的金星を挙げたラグビー日本代表でエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチ(HC)のもと、メンタルコーチを務めた。米国を代表するスポーツ心理学の権威らのもとで8年間研鑽を積み、アジア南太平洋スポーツ心理学会副会長を務める。

「試合がなくて凹んでいるアスリートへ告ぐ!メンタルは今が試合中!」

こう題した無料オンラインセミナーを4月11日に開催した荒木さんは、その理由をこう語る。
「ほぼすべての試合がなくなり、十分に練習もできず多くのアスリートが困っている状況のなかで、自分に何ができるだろう? と。そこで、自分の持っているパフォーマンスサイコロジーの知識を何らかのかたちでアスリートに伝えることで、何かの参考にしてもらえたらと考えました」

アスリートのみ100人限定で募集したところ3日ほどで埋まった。プロアスリートを筆頭に、小学、中学、高校、大学生。小中高生は保護者同伴でパソコンやスマホ画面の前に座った。参加者は互いの顔も名前もわからないが、ZOOMで荒木さんの姿をとらえつつ、講義中もどんどんチャットでコメントを入れる。