落合陽一の「スタートアップ」をAmazon幹部が極秘訪問した理由

2人が語った「クラウドと起業」の未来
西田 宗千佳 プロフィール

「たとえば、『落合陽一』個人として露出するのと、『ピクシーダストテクノロジーズ』として表に出るのとではまったく事情が異なります。落合個人に興味をもつ人がテクノロジーの深い面にも関心を抱くとは限らないので、そこは明確に使い分けています」

落合陽一氏 

そして、ひと口に媒体=メディアといっても、地上波のテレビのように一般向けに放送されるものと、AWSの「Now Go Build」とでは、情報の出し方も変わってくる。

落合氏が続ける。

ニッチに届くほうが面白い

「多くの人に向けて出す場合には、人によってイメージするものが違ってきますから。短い時間では伝わらないものもあります。誰に、どのような深さの話をするのかは、対象によって異なるべきだと思います。

 

個人的には、ニッチなところに届くほうが面白いと思っています。『Now Go Build』のような取り組みは面白いですよ。特定のファンもいるでしょうし、見ている人は技術に詳しいでしょうから、より深い話をダイレクトにできるメリットがあります」

さまざまなかたちで注目を集める落合氏だが、彼の本質の一つは研究者である。

ピクシーダストテクノロジーズは、研究者である彼のまわりに集まった他の研究者やエンジニアが、新しいテクノロジーを形にし、社会課題の解決を目指して社会実装するための企業だ。だからこそ、一般向けに薄まった話ではなく、「濃いものをそのまま届けられる」ことを重要視している。

「Now Go Build」に出演したのも、そうした「直接届けたい」という意識が働いているのだろう。

クラウドが「産業の基盤」であり、基盤としての価値をAIがさらに高めていくのは疑いない。AWSのような企業は、産業の幅が広がるほど、商売道具である「基盤」=クラウドの販路も広がり、ビジネスチャンスが大きくなる。

一方、その上で差別化するには、卓越した技術やアイデア、そしてアピール力が必要とされる。落合氏がピクシーダストテクノロジーズでやろうとしていることは、まさにそういう「差別化」。それができる企業ほど、クラウドを有利に使えるのだ。