落合陽一の「スタートアップ」をAmazon幹部が極秘訪問した理由

2人が語った「クラウドと起業」の未来
西田 宗千佳 プロフィール

ノルウェーの「Aquabyte」社では、サケの成長を1匹ずつ追跡する技術を研究しているが、そこで用いているのが「ビデオカメラからの映像」なのだ。

Now Go Build」エピソード3。ノルウェーの「Aquabyte」社でサケの成長を監視し、効率的に育成、タンパク源として活用する技術について取材している

一方で、「AI」という言葉は誤解も生み出している。AIによる判断を過度に恐れる動きもある。こうした「副作用」の現状をボーガス氏も認め、嘆く。

「歴史的には、コンピュータサイエンスの分野で、機械の力を使ってデータを分析する方法がずっと研究されてきました。現在はAI=人工知能とよばれるものですね。

正直なところ、こうした技術については『機械学習』という言葉を使うほうがずっと良いと思います。なぜなら、本質的にそれがおこなっているのは『学習』と、それに基づく『推論』だからです。

AIと呼ばれ伝統的に使われている機能には、多数のジャンルがありますが、結局それらが入っている“バケツ”の中にあるのは『機械学習』です。私たちは“いわゆるAI”に知性があると思いがちですが、そうではありません」

「データサイエンティストだけの領域」から解放

ボーガス氏はまた、機械学習の時代に特に重要視すべきものがあると指摘する。

「データです。とりわけその質が、非常に大切です。入力として『ゴミ』が入ってしまったら、出力にもゴミが出てくるからです。

 

たとえば、天候はデータセットの一部に偏りがあり、結果として得られるモデルが必ずしも公平であるとは限りません。

私たちは、AWSで機械学習に積極的に取り組んでいます。機械学習は、過去にはデータサイエンティストだけが扱う領域でした。彼らはアルゴリズムを書いて、すべてのものをつくっていた。

しかし今では、Amazonがウェブストアを運営する中で学んだことであれば、新しいアルゴリズムがなくてもできることがたくさんあります。機械学習専門のエンジニアにならる必要はないのです。

AWSでは、そうした作業を助ける『Amazon SageMaker』というツールも用意しています」(ボーガス氏)

起業コストは100分の1に

冒頭で述べたように、「Now Go Build」は、スタートアップ企業を中心とした、世界各地で課題解決に取り組む企業を支援する取り組みだ。ボーガス氏が続ける。

「AWSの台頭以来、企業を立ち上げるために必要にコストは下がり続けています。過去には500万ドル必要だったものが、今や5.5万ドルになりました。

そして、これら若い企業は、彼らが『課題解決のために実行可能なモデルをもっている』ことを、投資家に証明するチャンスを欲しています」

どういうことか。

ボーガス氏は、すでに有名になった企業の例として、UberやAirbnb、Dropboxを挙げる。