落合陽一の「スタートアップ」をAmazon幹部が極秘訪問した理由

2人が語った「クラウドと起業」の未来
西田 宗千佳 プロフィール

多くの企業が取り組んでいる自動運転技術の中でも、太い幹に相当する「自動車」などは大手がしのぎを削っており、スタートアップにとって勝算が高い領域ではない。

勝算が十分にあるニッチとして、ピクシーダストテクノロジーズが見出したのが「介護」というジャンルなのだ。xMoveは、汎用部品を使うことで、コストメリットのある車いすの自動走行ソリューションを目指している。

「安く、気軽に使えるものにならないと、この分野では意味がない」と落合氏はいう。一部の特別なハードにソフトウエア制御を組み合わせることで、付加価値を生み出すのが狙いだ。

また、ソフトウエアにおいてはAWSが「マーケットにある部品」ということになる。そのうえで、いかに付加価値があり、他と差別化できるものを組み合わせるかが、最終的な「新しい課題解決」につながる。

「クラウドがすべてを平等にした」

今回ボーガス氏が取材した日本の3社に共通しているのは「介護」だけではない。大量のデータを使い、「AI」で処理をして付加価値を出す、という点も一致している。むしろ、今注目を集めているスタートアップで、AIによるデータ処理を活用していないところを探すほうが難しいかもしれない。

xMoveに関しても、AWSのクラウドで学習した結果を機器に組み込み、機器搭載の推論機能が処理をする「エッジAI」が多用されている。落合氏は、「今後はエッジでの処理がどんどん重くなっていく。その部分での技術で、大きな差が出るだろう」と予想する。

xMove(クロスムーブ、商標登録出願中)

ボーガス氏も、クラウドとAIがスタートアップ企業に与える影響について、次のように説明する。

 

「最も重要なのは『クラウドがすべてを平等にした』いうことです。どの企業ももはや、クラウドで処理するだけでは優位に立つことはできません。つまり、企業がもっているデータこそが重要であり、あらゆる競争上の主たる差別化要因になります」

AIと機械学習の違い

どういうことか? ボーガス氏が続ける。

「私が思うに、機械学習とAIは急速に基本的なツールになりつつあります。スタートアップや若い企業の多くは、AIや機械学習を利用することに重点を置いています。

過去と比較して言えば、オーディオやビデオはあくまで、私たちが見聞きするための情報でしかありませんでした。それが今では、ビデオは『分析可能なデータストリーム』になりつつある。

たとえば、手術時にビデオ録画されているとしましょう。以前であれば、法的な保護のためや、学習のために保存していたものですが、現在は『データストリーム』として使い、分析に利用できるようになりました。これは、非常に重要な側面です」

面白い例がある。