フランスは外出自粛要請が延期に

日に日にコロナが世界を小さく断絶していく。
世界のつながりの象徴でもある、よりによって東京開催のオリンピックすら延期を余儀なくされ、ヨーロッパでは国境封鎖を解くタイミングについて議論を繰り返している。一つの地に集ってスポーツの祭典を祝うことも、「1つのヨーロッパ」を掲げて来たEUの概念をも揺るがせている。

フランスのニュース番組に映る識者たちは、夏休みに海外との往来を禁止にしなければ、6月下旬にパンデミックが落ち着いても9月以降に第2のパンデミックが訪れるだろうと話している。また、4月13日20時から行なわれたマクロン大統領の演説では、フランス国民が予想していた通り、5月11日までさらに4週間外出禁止措置が延長されることが発表された。その後保育園から高校までは徐々に再開するものの、大学は9月の新年度まで閉鎖されることになった。また、レストラン、カフェ、映画館などの再開の見込みは立たず、所得不十分な家庭や学生、企業や自営業を対象とした補償の約束をした。

戦後人々の努力によって海外との往来がいつでも可能になり、世界が広がってきたが、コロナ感染のパンデミックが無為にその動きに反して世界を狭く分断したかのようだ。そして私たちの行動範囲は室内に限られ、まるで実験用マウスであるかのように、誰かに空の上から見られているみたいだ。

私はフランスに暮らして10年になる。教師をしている夫と、小学生と保育園児の子どもが一人ずつおり、日本語教師やライターの仕事をしている。今からお伝えするのは、つい先日、4月8日に私自身が体験したことだ。

フランスでは現在、マクロン大統領が3月16日に外出自粛命令を出してから4週間あまり。私自身は、以前記事にも書いたように、感染爆発しているイタリアから帰国した家族が子どもを学校に行かせていることも目の当たりにしていたため、3月9日に施行され始めた休校措置の1週間前、自主的に子どもたちを学校に行かせることをやめた。私と子どもが一切外に出ずにもう3週間になる。そんな私が、「コロナ疑惑」で検査を受けるよう言われことになるとは――。感染しているかもしれない、といわれたときに、みなさんはどのような行動をとるだろうか。

コロナ以前からあったリモート診察を利用

我々家族が外出禁止を厳守して3週間が過ぎていた。仕事はすべてリモートで、日本語教師としてオンライン授業をし、原稿を書き、子どもたちとの時間をなんとか少しでも楽しいものにしようと必死だった。動かないせいか寝不足が続き、あれもこれもと自分に課題を課してハイテンションに過ごしていたといえる。

そんな中、睡眠時間が3~4時間であるにも関わらず全然寝つけない日が4日も続いた。しまいには、朝起きると肺のあたりがチクチクチクと小さな針で満遍なく刺されるような痛みを感じるようになり、翌日には胸の圧迫感に終日悩まされた。

睡眠不足なのに寝付けない。その不安もまた不眠につながる(写真の人物は本文と関係ありません)Photo by iStock


そこで、かかりつけの医者の予定をネットで見てみると、5時間後の夕方にリモート診療枠がたった1つ空いていた。これは運が良いと、すぐに予約をした。

リモート診療はコロナ蔓延以前からあったが、利用したことはなかった。しかし、医者に行けば待合室やドアノブなどがコロナウィルスの感染源になりかねないため、その場に行かないで受診できるという、今や安心すらできるシステムだ。
当日にも関わらず珍しく枠が空いていたし、通常の対面診察なら3週間後でないと予約ができないため、迷わず枠を確保した。

ちなみにフランスで病気になった時の受診システムは、大まかに3つに分かれている。ベストなのは自分の「主治医(ジェネラリスト)」の予約を取って次の処置の指示を仰ぎ、必要に応じて他機関で検査を受けるための処方箋を出してもらう方法だ(引っ越したりするとジェネラリストを見つけ出すまでにも大変なのだが、フランスの医療問題についてはまた別の機会にお伝えしたい)。