不動産は「新型コロナの影響を受けない」その考えは甘すぎる

たとえコロナから脱け出しても…
鷲尾 香一 プロフィール

事実、新型コロナの影響が最初に現れたのは観光業界で、破産・休業に追い込まれるところが出た。2020年東京オリンピック・パラリンピックの延期も追い討ちとなった。当初の「新型コロナが短期間で収束し、東京オリンピックが開催されれば、ホテル・旅館の経営は回復する」(不動産投資会社)との予想は“淡い夢”と消えた。すでに、東京の民泊業者の中には料金を1円にするところまで出ている。

 

テナント料「減額要請」が始まった

これまで、ホテルは日本の不動産価格上昇の牽引役となってきた。訪日観光客(インバウンド需要)の増加と東京オリンピックによる需要増加を背景に、日本各地で新規のホテル建設が相次いだ。

しかし今となっては「ホテル・旅館から賃料の減額要請が相次いでいる」(大手不動産デベロッパー)というように、すでに業界全体に“存亡の危機”が押し寄せつつある。

そして、影響はホテル・旅館業界に留まらなかった。商業施設への影響も、当初は観光地の土産物店や飲食店が中心だったが、感染が拡大するにつれ、外食産業を中心とする一般の商業施設にも波及した。飲食業を中心に経営悪化による休業、廃業、テナントからの撤退が始まっている。

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国土交通省は3月31日、不動産業界団体に「新型コロナウイルスの影響で賃料の支払いが困難なテナントにおいては、柔軟な措置実施の検討」をするよう要請した。すでに、商業施設を運営する不動産会社に対しては、飲食店を中心にテナント料の減額要請が相次いでいる。

これを受け、4月2日にはイオンモールとイオンリテールが3月および4月分のテナント賃料について、固定賃料にあたる部分の減額を決めた。他の大手不動会社も次々に賃料の減額に着手し始めた。