ドイツの市民が「コロナ対策」に、こんなに満足しているワケ

充実した経済支援と首相のメッセージ
河内 秀子 プロフィール

その上で、なぜ様々な制限をする必要があるのか、全ての人を保護して、経済的、社会的、文化的な被害を少しでも減らすために、いま必要なことは何かを説明する。

「医療崩壊が起こってしまったら何が起こるか。これは単なる統計上の抽象的な数字(の話)ではなく、お父さんやおじいさん、お母さんやおばあさん、パートナーなど、人(の話なの)です」

「大企業だけでなく、中小企業、レストラン、フリーランスにとってすでに厳しい状況で、来週はさらに大変になるでしょう。しかし、わたしは断言します。連邦政府は、経済的な影響を緩和するため、そしてなによりも職を維持するために、できることは全てします。私たちは、企業や働く人たちがこの大変な試練を乗り越えるために必要なものは、全てを投入できますし、またそうするでしょう」

この言葉に続いて、「めったに感謝されない人たちにも、お礼を言わせてください」と、スーパーマーケットのレジで働く人にも心を配るのも忘れない。通りいっぺんの演説とは違う、首相の心からの言葉だと感じさせる。

「メルケル首相は、そして連邦政府は、この国に住む全ての人を助ける!」という力強いメッセージが伝わってきた。

〔PHOTO〕Gettyimages

メルケル首相の15年間の任期の中で、最大の人気を集めたこの演説は、具体的な経済支援対策の提案が行われる前に、あらゆる職種の人に、大きな信頼感を与えたと言えるのではないだろうか。

前述のアンケートによれば、ドイツ全体の経済状況の悪化に対する不安は75%で、自らの経済状況への不安を感じているという人は34%。自らの職を失うのではーという不安を持つ人は18%だ。

しかし、そんな中にあって、保健・医療機関や医師への信頼度は77%と高い。そして、実に93%が、3月23日からの「接触制限」措置を支持している。

 

ベルリン「即時支援金」の背景

では、経済政策のほうはどうだろう。

3月末、ベルリン州政府が行った、ドイツが国として行ったのとはまた違う新型コロナ経済対策が話題を呼んだ。日本のSNSやメディアでも、数多くのニュース(?)が飛び交ったので、覚えている方も多いかもしれない。

ベルリンに住むフリーランスたちに、申請から2〜3日で5000ユーロ(約60万円)が口座に振り込まれた、というものだ。